特別企画
TAJ(日本テレマーク協会)の
バックカントリーフェスに潜入!
決して万人受けしているわけではないけれど、スキー界で次第に大きな潮流を作り始めているといえるのがテレマークである。
当教会を閲覧している方々で知らないという人は少ないと思われるが、念のため軽く説明すると…
一番の特徴は常時かかと側が固定されていない状態で滑るという点であろう。
ターン時は内足を後ろに引いてスキーに前後差をつけてターンをする。
ブーツとビンディングは専用の物を使い、板に関しては様々なものを使うが基本的にエッジがついておりアルペン用と大差がないものが多い。
かの佐々木明もプライベートでやってみたら結構ハマッたと言うし、とにかく歩行がアルペンに比べて格段に楽なためバックカントリーに向いていると言われる。
ゲレンデスキーに飽き足らない人々が今一番注目するアイテムであろう。
関温泉イベント会場2005年3月5、6日妙高村の関温泉スキー場で行われた日本テレマーク協会主催のバックカントリーフェスティバルに潜入してみた。
とにかく、テレマークイベントとしては国内最大級(?)らしく、正確な人数はよく判らなかったが100人以上はいるようであった。
こんなに多くのテレマーカーを見るのは当然初めてのことである。集まるところには集まるものなのだ。
小さな関温泉スキー場はテレマーカーとスノーボーダーとスキー教室の子供たちとで一種独特の賑わいを見せていたのであった。

こんなに集まって何をするかといえば、公認インストラクターによる技術講習会、ファンレース(比較的初歩的なポール)、協賛メーカーによるニューモデル試乗会、夜はパーティーなどなどと実に盛りだくさんなのであった。
スキージャーナルの編集長も来ていて、最新の動向を確認するべく熱心にテレマークスキーのニューモデルをチェックしていたのであった。
画像を見ていただくとわかると思うが、テレマーク用といって発表される板のほとんどは幅の広いファットスキーである。
バックカントリーというのは当然ピステンの入らない不整地なので、そうなると当然の帰結としてファットになるのであろう。
スコッティボブのヘラのようなスキー

●スコッティ・ボブ

あまりに異様なシェイプで人目を引いていたのがこのメーカー。
北米の新興メーカーで極端な非対称形状が特徴。
テレマークではターン時に必ず左右のスキーに前後差がつくのでその分サイドカーブをずらしたという。
ちょっと前にフィッシャーがラダークというスキーを作っていたが、それとは逆の形状でもっと極端にした印象だ。
試乗した人の話を聞くと、ターンの時にテレマークポジションを取らされるような感じがするという。
たまにテレマークポジションが取りきれなくてアルペンターンで逃げようとしてもそれを許してくれないそうだ。
とにかく縁が薄い板で、木目調の柄は何かのヘラのように見える。
こんなんで大丈夫なのか?と思うが結構大丈夫らしい。

輸入代理店はキャラバン
かつてノルハイムとして知られていた輸入代理店が登山靴の老舗のキャラバン傘下に入った形だそうである。

カナダ人のポールさん(21)というスキーヤーが一人デモンストレーションにやってきた。
"Scotty Bob"でメーカーサイトを探すとそこでデモムービーが見られるとのこと。そこに出演しているのがポールさんというわけ。
かなりアグレッシブな滑りをするらしい。
G3のテレマークスキー

●G3(ジェニュイン・ガイド・ギア)

クセのなさそうなセミファット系の板が多い。
なかなか上品な印象のコスメデザインだが、良く見ると美女の顔が印刷されていたりする。
ビンディングやシャベルなどバックカントリーグッズ全般を発売しているメーカーである。

輸入代理店はスコッティ・ボブと同じくキャラバン
参加者に商品説明をするロストアロースタッフ

●ブラックダイヤモンド

このブランドのスキーは軽さと強度を両立しようと表面にリブのような補強構造を入れたものが多い。
スキーを背負ったり、シールなどでハイクアップするときなど軽い方が良いというコンセプトである。
テレマークビンディングやクライミングギアなどを各種プロデュースするメーカーである。
スキー板はアトミックが製造しているといわれているが、アトミックよりコスメデザインははるかに今風だ。

輸入代理店はロストアロー
(クライミング、バックカントリーなどかなりシリアスな登山用品を扱う)
画像は参加者(向かって左)に商品説明をするロストアロースタッフ(向かって右)
ブラックダイヤモンドのテレマーク用スキー、ヴァーディクトとクロスボウ

右:ヴァーディクト

来季新登場の超ファットスキー。
これまでもかなり幅の広いスキーを発表していたB.D.だが、また輪をかけてワイドなスキーを発表した。
一応サイドカーブはあるらしい。
一体どこまで幅を広げるのでありましょうか?
ビンディングはテレマーク用の同社のO3(オースリー)
アルペンツアー用ということでフリッチのディアミールを装着した見本もあった。(上画像)


左:クロスボウ
B.D.が始めて発表したファットスキー。
マイナーチェンジして、表面の補強構造のパターンが少し変わった。
ビンディングは同社のO2(オーツー)
ハードブーツ専用に戻りバネがしっかり効くというビンディング。
スプリングカートリッジがブーツ下に配置されるのが特徴。
このシリーズ(O2とO3)は北米では既に発売されていたものの、「バックカントリーの現場で応急修理が出来ない。」という理由で過去2年間日本国内での発売を見合わせていたという。
今度は待望の国内正式発売だそうだ。


他にツインチップのファットスキー「ハボック」のレディス版と思われる「リリック」というモデルもあった。
やはりメインはファットスキーなのだ。
カルフのテレマークスキー

●カルフ

クロスカントリーやテレマークなどノルディック系の板を作るメーカー。
一般的なスキーヤーはまず知らないメーカーでありましょう。
超ファットから細板までいろいろバリエーションがある。

輸入代理店はミヤコスポーツ
(登山用品を扱う問屋である)
カルフのファットスキー2種類

カルフのファット系モデルでは木目を出したサンドイッチ構造の板が目を引く。
(画像左側)
多分木目は印刷などではなく天然モノ。
センターに色の濃いウッドが配されていて、オガサカの限定モデルを彷彿とさせる。
同じようなシェイプで立体リブつきのキャップ構造のモデルもある。(画像右側)

ついているビンディングはロッテフェラー。
ノルディック系のビンディングメーカーである。


他にロシニョールやアトミックの板もあったが、コスメデザインが行儀良くまとまっているなあという印象だ。

●K2

アメリカの代表的なスポーツグッズメーカーである。
スキーに関してはこうしたフリーライド、テレマークしか眼中にないのではないかと思うほどの商品構成だ。
テレマークのイベントなので特に一般のゲレンデで見かけなさそうなものが多く並べられていた。

とにかくグラフィック的には「ワル」というか…(柄モチーフが爆弾とかガイコツとか)
トップに鋲が打ってあったりするものまである。

でもレディスはきれいなハイビスカス柄だったりして。
ヴェクターグライドのブース
●ベクターグライド

秋庭将之プロデュースのバックカントリースキーブランド。

当日は秋庭氏本人が応対していた。
公にはしていないが、オガサカが製造しているのは比較的有名な話。

テレマーク、アルペンそれぞれにモデルが用意されている。
テレマーク用がボールド、アルペン用がコルドバというモデル名。
当然ボールドの方に人だかり。
シンプルなコスメデザインが特徴。


スノーボードも展開しているらしく、板のみ展示していた。
TAJの方と話す機会があったが、協会の現状というのはまさに内輪の親睦会からひとつの種目の代表団体への移行期ということでその方向性が定まりきっていない時期であるとのことだった。
今まではマイナーだが「通」という一種の優越感を持って活動していたが、もっと広がりをもった活動に移行していくためには一般層も取り込んでいかなければならないというジレンマに陥りつつあるようである。

さらにSAJとの関係も話を複雑にしているようだ。
FIS(国際スキー連盟)管轄の国際大会に参加するためにはスキーの国内団体であるSAJを通さなければならないという事情、SAJサイドもテレマークを取り込みたいという思惑も絡んでいると思われる。
さらにさらにSAJのように技術体系を教程本にまとめたものの、皆が納得できる内容ではないらしいとか…
やはりこの種の団体は似たような問題を抱えるのであろうか?

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