教祖による「オタクの視点」

07-08スラローム開幕戦(ライターアルムAUT)

レビィ(FIN)の代替開催レースである。
TV画面で見る限り日本の山のようなベタべタした雪が降る中レースがはじまった。
途中吹雪いたりして、選手によって視界などの状況が大きく変わってしまうコンディション。

一本目
コース自体は大きく三つのセクションに分けられたと思う。
スタート直後は斜度も急で、まずはリズムをつかむことが必要。

中盤は斜度もきつくなく、勝つためには積極的に攻めていかなければならない。
振り幅の大きいセットでいかにスキーのトップを下方向に保ったまま滑りきれるかでタイムが変わる。

中盤と終盤の境目に斜面変化(しかも面がねじれている)があった。
そこにふり幅の大きいオープンからリズムを大きく変化させてストレートのゲートが立てられていた。
選手の滑った結果を見る限り、攻めていきたいところだが、バランスを保持するだけでも難易度が高そうに見えた。
最後は緩斜面なので、そこまでいかにスピードをつなげていけるかがタイムに大きく影響していた。

二本目
一本目からゲート数も減り、より攻めていけるセットになっていた。
完走の確率は一本目より高いセットともいえると思う。
セッターの意図としては、遅いゼッケンから二本目に残った選手に上位進出の機会を用意したように見えたが、皆様はいかがお考えだろうか?

<各選手のインプレッション>

マルク・ジニ(優勝)☆フォルクル
目立ったバランスの破綻もなく、ポール間近を狙いつつ、なおかつ身体をフォールラインへ落とせていた。
無駄に身体が暴れないのも、ターンがコンパクトに決まっていることに通じていると思う。

カレ・パランダー(2位)☆フィッシャー
懐深く、破綻のない滑り。
上体が常にフォールラインに向いて、脚部も柔らかく適切に動いていた。
動きが滑らかなので静かな滑りに見える。

M・メルグ(3位)フィッシャー
ターンがコンパクトで前半の捉えの速さが目立つ。

B・ライヒ(7位)☆アトミック
安定性重視の滑りに見えた。
上手く滑りをまとめているものの、わずかに腰の位置が低くスキーが今一歩「抜けて」きていない。

M・プランガー(10位)☆フォルクル
スタートまではあいも変わらず「異常な気合」を入れていた。
スキー界の高見盛だなあ…と思ってみていたら、意外にもスタートするとまともな(失礼!)滑りだった。
以前は気持ちが空回りして、表情は攻めているのに板は意外に回りすぎてタイムがイマイチなことが多かったように見えた。

A・L・スヴィンダル(13位)☆アトミック
先に行われたGS緒戦の勝者。
大柄な選手ということで、同じく大柄のパランダーと共通したところがある。
ただ、SLはあまり練習してはいないようでターン動作は長めになってしまう。
それでもSLスペシャリストの中にあって13位というポジションはスゴイ!
GSでも見られたようにバランスが良いことだけでもこれだけタイムが出せるものなのだろう。

J・コクラン(14位)☆フォルクル
T・リゲティと共通した内傾角が非常に大きいが、バランスの良い滑り。
上手く2本まとめることができた。

A・オミンガー(17位)☆ブリザード
47番スタートから17位に入ってきた。これをきっかけに上位進出できるかもしれない。
滑っているところはプランガーに似ている。
ターンがコンパクトになるともっとタイムが出ると思う。

T・O・カールセン(21位)☆ブリザード
安定感ある滑りだが、身体が落下しきっていなかった。
大きな失敗はない。

佐々木選手(22位)☆ブリザード
まだ、初戦ということもあり技術を確認しながら完走第一の滑りに見えた。
上体の安定感はかつてなかったほど良くなっており、見ていて非常に安心感があった。
今のスラロームセットは振り幅も大きく、その中でポジションを保つことが勝利への前提となると思われる。
ブリザードの特性を生かすためにもまずは良いポジションを保って板に正確な加重をかける必要があるという判断だと思われる。
それに加えて身体をどんどん落としていけばタイムも出てくると思う。

R・ヘルプスト(25位)☆ブリザード
昨年シーズン前に怪我をして、途中から参戦。
今シーズンは最初から参戦しているが、やや様子見的な部分があったようだ。
リズム変化の部分など「上手さ」を見せたが、バランスを大きく崩すことがあった。
おそらく、もっと急な斜面の方が得意なのであろう。

B・ミラー(26位)☆ヘッド
順位だけ見れば、まだまだだろうが、昨年のダメダメぶりからすればだいぶよくなった?
身体が遅れそうで遅れないという印象。
この人の滑りは足元、スキー板の流れが最重要視される。
今回は川が流れるようにスキーが下に流れていた。
ヘッドのスキーの特性(平板で反応がドロンとしている)も関係あるかもしれない。

Y・ビグマルク☆アトミック
昨年から注目の選手。一本目一番スタートで、前半非常に積極的な滑りだったが、中盤〜終盤の変化のところでコースアウトしてしまった。
完走していたならばおそらく上位(トップ10位?)に絡んでいたことだろう。
やや身体が暴れ気味。

皆川選手☆アトミック
一本目、2旗門目に入るときに「迷い」が見られ、その後タイミングが遅れて序盤からロスがあった。
その後、やや挽回したものの例の斜面変化のストレートを抜けたところでバランスを崩しコースアウト。
まだ怪我の状態を探りつつあるようで、板の「抜け」もいまひとつに見えた。
ちなみに、D社のウエアは80年代を連想させるデザインだと思うが皆様いかがお感じでしょうか。
(赤・白の配色を赤・黄色にすると…全盛期のスイスチーム?!)

T・リゲティ☆ロシニョール
非常に動きは良かった。
が、振り幅の大きいターンで外足を押さえきれない場面がありバランスを大きく崩したため一本目タイムを大きく落としてしまった。二本目DQ

生田選手☆ノルディカ
スタート直後はなかなか良かったが、中盤に入るところで内スキーのトップがポールに引っかかってしまいコースアウト。
狙っての失敗なので、悪い結果ではないだろう。

湯浅選手☆ハート
掘れたミゾに合わせ過ぎてしまったか?
持ち前の板の「抜け」がスポイルされてしまった。

全体的には、「様子見」で滑ったベテランよりも「一発にかける」若手が上位にきたといえると思う。
今後、難易度の異なる斜面でのレースが続き、技術を調整してくるであろうベテラン選手の仕上がり具合でランキングが変動してくるはずだ。

マテリアル上、見て驚いたのは表彰台にアトミックがいないということだった。
(アトミックは6位のラルソンが最高)
使っている人間が違うし、技術も異なるので一概には言えないが、アトミックはこのようなコースではやや挙動に神経質な面が出てくるのではないかと思った。
フォルクル使用選手が少ない割りに上位に絡んでいた。
われらがブリザード使用選手も完走率は高い。

07-08スラローム第一戦:ライターアルムリザルト(男子)

POS Athletes Nat 1st 2nd Time Points Blizzard
1 Gini Marc SUI 58''96 54''43 1'53''49 100
2 Palander Kalle FIN 59''23 54''54 1'53''77 80
3 Moelgg Manfred ITA 59''78 54''21 1'53''99 60
4 Grange Jean-Baptiste FRA 59''58 54''54 1'54''12 50
5 Matt Mario AUT 59''67 54''47 1'54''14 45
6 Larsson Markus SWE 59''87 54''46 1'54''33 40
7 Raich Benjamin AUT 59''47 54''88 1'54''35 36
8 Lizeroux Julien FRA 59''82 54''71 1'54''53 32
9 Sch?nfelder Rainer AUT 59''92 54''72 1'54''64 29
10 Pranger Manfred AUT 59''25 55''66 1'54''91 26
11 Neureuther Felix GER 59''79 55''23 1'55''02 24
12 Koll Alexander AUT 1'00''75 54''35 1'55''10 22
13 Svindal Aksel-Lund NOR 1'00''15 55''17 1'55''32 20
14 Cochran James USA 59''48 55''85 1'55''33 18
15 Vajdic Bernard SLO 1'00''77 54''63 1'55''40 16
16 Zurbriggen Silvan SUI 1'00''29 55''21 1'55''50 15
17 Omminger Andreas AUT 1'00''40 55''13 1'55''53 14
18 Deville Cristian ITA 59''95 55''68 1'55''63 13
19 Viletta Sandro SUI 1'00''40 55''25 1'55''65 12
20 Kostelic Ivica CRO 1'00''12 55'55 1'55''67 11
21 Karlsen Truls Ove NOR 1'00''24 55''47 1'55''71 10
22 Sasaki Akira JPN 1'00''40 55''37 1'55''77 9
23 Baumann Romed AUT 1'00''53 55''28 1'55''81 8
24 Myhre Lars Elton NOR 1'00''94 54''95 1'55''89 7
25 Herbst Reinfreid AUT 1'00''00 56''02 1'56''02 6
26 Miller Bode USA 1'00''26 56''06 1'56''32 5
27 Albrecht Daniel SUI 1'00''81 55''77 1'56''58 4
28 Stutz Paul CAN 1'00''80 56''17 1'56''97 3

07-08スラローム第一戦:ライターアルムリザルト(女子)

POS Athletes Nat 1st 2nd Time Points Blizzard
1 Schild Marlies AUT 58''13 57''40 1'55''53 100
2 Hosp Nicole AUT 58''22 57''37 1'55''59 80
3 Costazza Chiara ITA 57''97 57''86 1'55''83 60
4 Stiegler Resi USA 58''24 57''70 1'55''94 50
5 Zuzulova Veronika SVK 58''57 57''50 1'56''07 45
6 Pietilae-Holmer Maria SWE 58''09 57''99 1'56''08 40
7 Zahrobska Sarka CZE 58''47 57''77 1'56''24 36
8 Poutiainen Tanja FIN 58''70 57''64 1'56''34 32
9 Gius Nicole ITA 58''73 57''86 1'56''59 29
10 Borssen Therese SWE 58''32 58''29 1'56''61 26
11 Riesch Maria GER 58''71 58''09 1'56''80 24
12 Paerson Anja SWE 58''86 58''18 1'57''04 22
13 Loeseth Nina NOR 59''12 57''95 1'57''07 20
14 Moelgg Manuela ITA 59''31 57''85 1'57''16 18
15 Fleiss Nika CRO 58''96 58''25 1'57''21 16
16 Hoelzl Kathrin GER 59''47 57''85 1'57''32 15
17 Zettel Kathrin AUT 59''31 58''27 1'57''58 14
18 Nigg Marina LIE 59''44 58''17 1'57''61 13
19 Camastral Aita SUI 58''73 58''93 1'57''66 12
20 Perner Nina GER 59''18 58''57 1'57''75 11
21 Hansdotter Frida SWE 59''07 58''70 1'57''77 10
22 Bergmann Monika GER 59''75 58''23 1'57''98 9
23 Jelusic Ana CRO 59''73 58''36 1'58''09 8
24 Chmelar Funny GER 59''16 59''06 1'58''22 7
25 Karbon Denise ITA 59''81 58''49 1'58''30 6
26 Karasinska Katarzyna POL 59''34 59''03 1'58''37 5
27 De Leymarie Florine FRA 59''03 59''66 1'58''69 4
28 Kurfuerstova Eva CZE 59''59 59''16 1'58''75 3

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