07-08ワールドカップリザルト

08年1月20日キッツビューエル男子スラローム

伝統のキッツビューエル、SLである。
このレースで話題をさらっていたのはF社の穴あきスキーであろう。プレスリリースではHOLE SKIとある。

<F社インターナショナルサイトより>
レーシングディレクター、G・フォグレイターの説明
「スキーの先端の穴とテールの切り欠きはスキーのマス(重量部分・分量の意)を減らしています。スキーのマスがセンターに集中し、これにより慣性を減らせるわけです。
利点はスキーの片側のエッジから反対側へより速く切り替えることができ、これによりターンとターンの移行がより容易になります。」
「最初の穴あきスキーは、クリスマスの直前に準備ができていました。その後ワールドカップのトップグループの選手は、これらのプロトタイプをテストしました。
彼らにも良い感覚があって、なおかつ速く滑れた」
「アーデルボーデンで、このスキーがはじめて使われました。まだ穴はカバーしていましたが、ライナー・シェンフェルダーが4位になりました。さらにウエステンドルフのFISレースのスラロームでも穴はカバーされたまま使われました。ジュリアン・リズローがマンフレード・メルグを抑えて優勝しましたが、二人とも穴あきスキーで優位性がありました。」
「我々が穴あきスキーには利点があるとわかれば、もちろん他の選手にスラロームでスキーテストする機会を提供します。そして、他の種目でも穴あきスキーをテストしています」

F社の発想はトップショベルの持ち上がり分を長く取って実質のエッジ長を短くし、接地しないトップ部分に穴を開けて軽量化しようとするものだと思われる。
(以前からF社は極力エッジ長を短くしようとする傾向があり、それがアドバンテージにつながると考えているようだ。トップフィンをつけてはじめて規定の長さになるスキーを作った考え方のいわば延長線上にある)
しかしカレ・パランダーはメリットを感じていなかったのだろうか、穴のないスキーを使っていた。
これは私の推測だが、パランダーは脚が長いため自力で充分スキーを回旋できると判断したのであろう。
逆に最も恩恵をこうむったのはシェンフェルダーのように思った。
機敏ではあるが、比較するとそれほど大柄ではないので、ふり幅の大きいセットで脚のリーチ以上にスキーを持っていかねばならない場面が多くなっていたのではないか。
そんなときに穴あきスキーが効果的だったのだと推測している。
さて、これを見て自分の板に穴をあけるスキーヤーが出てくるか見ものである。

たしかに上位10人中5人がF社ユーザーだが、レースで優勝したのはR社を使うグランジであったし、二本目のベストタイムはわれらがブリザードを使用するヘルプストであったことには留意すべきであろう。
大体、技術系種目の有力選手はほとんどF社がおさえているので(一時のA社状態)、ここまで奇抜なことをしなくても同様の結果が得られる可能性も指摘しておこう。

佐々木明は一本目20位だったが、二本目10位のタイムを出し、トータルで16位に入った。今期はなかなかしぶとくレースを行っている感じだ。
賢太郎はどうも動きがかみあっていないような印象だった。動きが硬く流れがない。片斜面で脚が揃いすぎてバランスを保てず、完走扱いだが二本目圏外だった。

Pos Name Nat 1st Pos(1) 2nd Pos(2) 1st-2nd Total Time Blizzard F社
1 GRANGE Jean-Baptiste FRA 55.21 1 49.83 7 1:45.04
2 BYGGMARK Jens SWE 55.54 4 49.65 4 = 1:45.19
3 MATT Mario? AUT 55.43 2 50.13 11 1:45.56
4 LIZEROUX Julien FRA 55.51 3 50.20 14 1:45.71
5 SCHOENFELDER Rainer AUT 56.36 12 49.62 3 1:45.98
6 NEUREUTHER Felix GER 55.56 5 50.58 19 1:46.14
7 RAICH Benjamin AUT 56.46 13 49.77 6 1:46.23
8 LIGETY Ted USA 55.95 9 50.29 15 1:46.24
9 KOSTELIC Ivica CRO 56.16 11 50.17 12 1:46.33
10 MOELGG Manfred ITA 55.69 6 50.75 21 1:46.44
11 MISSILLIER Steve FRA 56.80 15 49.74 5 1:46.54
12 MYHRER Andre SWE 55.91 7 50.76 22 1:46.67
13 HERBST Reinfried AUT 57.37 19 49.43 1 1:46.80
14 MILLER Bode USA 56.67 14 50.17 13 1:46.84
15 JANYK Michael CAN 56.13 10 50.95 24 1:47.08
16 SASAKI Akira JPN 57.13 17 50.12 10 1:47.25
17 VAJDIC Bernard SLO 57.40 20 49.95 8 1:47.35
18 VILETTA Sandro SUI 57.35 18 50.04 9 1:47.39
19 DEVILLE Cristian ITA 57.04 16 50.49 18 1:47.53
20 HOERL Wolfgang AUT 58.05 24 49.50 2 1:47.55
21 BIGGS Patrick CAN 57.66 21 50.40 17 1:48.06
22 THALER Patrick ITA 57.90 22 50.34 16 1:48.24
23 BROLENIUS Johan SWE 57.93 23 50.61 20 1:48.54
24 PALANDER Kalle FIN 55.91 8 52.75 25 1:48.66
25 STUTZ Paul CAN 58.15 25 50.78 23 1:48.93
26 RAZZOLI Giuliano ITA 58.33 26 58.08 26 1:56.41

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