異端審問所(変わったグッズの試験)

2003年4月某日
ロシニョール社フリートレックを平標山ヤカイ沢で試す

一昨年、購入して以来、本来のフィールドで使うこともなくほこりをかぶっていたフリートレックを本来得意とする山の中に持って行ったのであった。


御存じない方のために軽く説明しておくと、
ツアー用山スキーと同様、ヒールの固定・可動の切り替え機構(ビンディングの前後スライドで行う)を備えたショートスキーなのです。
私の所有しているのは長さ88cm、トップ幅128mmの初期型。
スキー板としてはかなり非常識なシェイプである。
現行モデルは長さが99cm、トップ幅115mmで初期型よりもゲレンデでの常識に近い板の形状になっている。


たまの休みで昼近くまでウダウダしてしまったため、歩き出したのは遅く午後も3時近かった。
どうも異端審問には気合が入らない。
下りは滑り降りるため時間がかからないし、真冬に比べればだいぶ日も長く6時くらいはヘッドランプ無しで充分見えるだろうということで余裕かましています。

別荘地

平標登山口の駐車場から別荘地への道はきれいに除雪されていた。
アスファルト上をプラブーツで歩くとどうもカクカクしてしまう。
ただし、別荘地から奥の林道はきっちり雪が残されています。


ザックはオスプレーのエクリプス42で両サイドにフリートレックを差し込んでいる。
ブーツは山スキー用のスカルパ(旧デナリ)で歩いた。

ヤカイサワ入り口

林道を少し進むと左手にヤカイ沢が見えてくる。
今回は時間の許す限り登ってフリートレックの山での性能・特性を試そうという目的なのだ。
日照時間が長くなってきていて6時くらいは十分見える。
一時間で下れるならば5時までは登っていてよい計算になる。


雪の残る道をしばらく進む。
途中雪が途切れたりするので、板を履くかどうかは微妙な判断となる。
橋を渡ると登りの林道になるので、ここからシールを貼り付けて対応する。


硬いスノーシューを履いているような感じだ。


ヤカイ沢の下部はかなり雪解けが進み、たまに板を脱いだり履いたりといった対応が必要だったが、登っていくと雪も増えて完全にシール登行体制になった。

ヤカイサワ下部

しばらく上がっていくと、少し木の多いスキー場のゲレンデのような所に出てくる。
緩斜面の初心者コースといった趣。


フリートレックのビンディングは前後3段階切り替え式で、
前:登行専用(かかと可動)
中:平地およびアップダウンミックス(かかと可動)
後:滑降専用(かかと固定)
と、使い分ける。
ここでは斜度が少ないので中のポジション。

フリートレックヒールフリーモード

平標の山本体に近づくとだんだん傾斜が急になってくる。
ここでフリートレックのビンディングのセットを登行モードに動かす。
ブーツ位置が最大前進位置となり、まるでスノーシューのようなバランスだ。
さらにヒールリフターも起こすと実に楽に登れるようになる。
これにはビックリ。

雪崩デブリ横

雪崩た跡の横を登る。
斜度は25度強くらいか?


だんだん時間が無くなってきた。

滑降スタイル

沢の中程まできたところでタイムアップ。
ここから滑降の移ることにする。


下りは運動量が格段に少なくなるのでシェルジャケットを着込む。
登りでは高透湿のエピック、滑降時は耐水圧の高いディアプレックスと使い分ける。
ウエアも科学的に使い分けるのだ。

ヤカイサワを見下ろす

登ってきた斜面を見下ろす。
なかなかいい斜面ではある。


シーズンとしてはもう少し早いほうが滑りやすいだろう。
3月末くらいまでがベストシーズンと言われている。

シュプール

さすがに滑りながらの撮影は出来なかったので、フリートレックのシュプールを。
雪質は柔らかなザラメ雪でズワー、ズワーという感じだ。

日暮れの沢

あっという間に沢の下に。
ここまで10分足らず。


スキーの機動力は確かにすごいものだ。
夏場に歩いていたらこんなに短時間での移動は出来ない。


日が暮れそうだ。
さっさと戻ろう。

やはりフリートレックはスキーというより登山道具の一種とみなしたほうがしっくりくる。
山での機動力はそのとぼけた外観からは想像もつかないようなすばらしさといえよう。
ただし、板自体は柔らかい雪にあわせたシェイプになっているためダウンヒル性能に過剰な期待は禁物である。
はっきり言ってスキー板としてはかなり「異常な」形である。

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