黒犬靴(ドーベルマン)教


WC160

ノルディカ・ドーベルマン・WC160

21世紀に入って私も「黒犬靴」を使い始めた。
はっきり言ってかつてないフィット感であり、まさに「余靴を持って替えがたい」逸品であった。

さすがに5シーズンフルに使うと、それなりにくたびれてきたので、やはり同じ黒犬靴で新調しようと考えたのであった。
決断した時期の問題なのだが、既にドーベルマンWC150は入手不能。
なぜか160なら…ということで、思わず「…それ、お願いします!」

かくして手元にWC160が届いたのであった。
以下、その内容をざっとご紹介する。
ドーベルマン160レース専用ブーツだからといって何も特別なパッケージに入っているわけではない。
市販ブーツと同様のボール紙の箱に入っている。

箱を開けると一見WC150と同じブーツが姿を現す。
黒くピカピカしたシェルにシルバー(白)とレッドがアクセントになっているデザインだ。
一見して初期のものより目立つようになっているのが分かる。

バックルは初期のものより派手な色使いになっているが、レバーの形状が変わって上げるときに指がかかりやすくなってる。
ちゃんと実質的な機能面での改良がなされているのであった。

カフ前部につける「ダイレクトドライバー」というスポイラーはついていない。
シェルがしっかりしているので必要ないのであろう。
ドーベルマン160甲の部分を見るとはっきりと「DOBERMANN WORLD CUP 160」。

白縁つきの赤い文字で「160」と表示されている。
当然、「150」よりシェルが硬い設定なのだが、ロアシェルの硬さが際立つ。
これは冷えていたらとても足が入らないのではないだろうか。
「150」表示の初代モデルでも、冷えていたために履くのに15分かかった経験がある。

草履を懐で温めるではなくて、ブーツを懐で温める?
ドーベルマン160紐で締めるインナーブーツ。
このインナーが登場したときは、インナーの段階で紐で締めるブーツって!?ということで一部スキーオタクの間では話題になっていた。
確かにこれならゴム帯のように、伸びてベロベロになったりはしないので、改良といえる。

タンの付け根も調整ができるようになっているが、この辺の構造は登場以来変わっていない。
あまり語られることがないようだが、このインナーに関してはパッドのスポンジ(?)の材質がものすごく良い。密度が高く、コシがある。
一般向けのような「ふにゃふにゃ」したすかすかスポンジではない。
実際、初代モデルを5シーズンほど使ったが、フィット感がほとんど変わらなかった。
「レーシング」と名づけられていても、一般の用途を意識したものは数十回の使用で必ずパッドがつぶれて、ややゆるくなる傾向があったが、こいつは全く別次元である。

後方にはベルクロにて脱着可能な前傾スポイラーがつく。
ドーベルマン160付属のインソール。

二枚入っている。
黒い方が本来的な意味でのインソールで、白い方は内部のボリューム調整のためのもの。
白いインソールのあるなしで確かにハーフサイズ位は変わる。

やはり、このくらいのブーツならば成型のインソールを入れるべきであろう。
ドーベルマン160
付属品の数々。

取扱説明書にレンチ、驚いたことにブーツ表面のロゴが削れてしまうのに備えて予備のロゴが用意されている。
プラスチックモデルのデカールのようだ。
このブーツは基本的にロゴなどのデザインがシェルにモールドされていない。
機能に関係しない要素は徹底して金型から外されているのである。
この潔さにまたシビレルのであった。

取扱説明書にははっきりと、インナーのみ先に履いて(紐を締めて)、そこからシェルに足を入れるように書かれている。脱ぐときも同様。
確かにそうしないととてもスムーズな脱ぎ履きはできないような気がする。
初代ドーベルマン初代のDOBERMANN RACING (SOFT)
ちょっと比べてみよう。

驚いたことにシェルの形はまったく変わっていない。
表面に光沢がないが、これは汚れのせいというわけではなく、最初からこのようなニブイ半光沢の仕上げだったのだ。
さらに、ブランドロゴがかかと付近に小さく入っているだけ。
バックルもシンプルなタイプ。
新旧インナー新旧のインナーを並べてみた。
左側が初代で甲の部分はゴム帯がついている。
使い古してゴムが伸びきってますな…
ちなみに私は脚が短いのでインナーの上部を一部削ってある。

右側が現行の紐締めタイプ。
初代のときのように上部を削るか思案中。

驚いたことに紐で締めるようになった以外はほぼ全く同じものだ。
もう少し変わっているのではないかと思っていたのだが、単純に初代のインナーに紐を追加しただけであった。
刻印ソフトつま先コバの側面にシェルの硬さを示す刻印がある。

今まで使っていた初代は「SOFT」。
フレックスインデックスは「150」の表示。
レーシング専用ブーツでは、150=SOFTなのである。
刻印ミディアム今回入手したものを見ると「MED」の文字が…

フレックスインデックスは「160」の表示。
160=MEDIUMということになる。
…ならば
「HARD」というタイプもあるのか?
カフ切り欠き部1さて、カフの内側を見てみると…

意味ありげな点線のモールドが…。
(左図中赤いラインで示した部分)

実は私の使っていた初期型(フレックス150)にはこのモールドはない。
代わりにより強化するためにダイレクトドライバーというフロントスポイラーが付属している。
インデックス150はフレックスを「足す」発想なのだろうか?
カフ切り欠き部2反対側のカフ内側にも同様の点線モールドある。

インデックス「160」のブーツはフレックスを「引く」発想?
「150」のブーツも同様の部分を切り取ればより「ソフト」になるだろう。
カフ切り欠き部2ダイレクトドライバーは付属していないので、てっきり使わないものかと思っていたが…

よ〜く見るとネジ穴のガイドが…。(左図中黄色の矢印)
「DD」(ダイレクトドライバーの略号か)という刻印も。
まだ、カフ周りを硬くセッティングできるということなのか!

それにしても見れば見るほど発見のあるブーツである。

市販の「黒犬靴」情報が欲しいという方は、ノルディカのWEBサイトに巡礼しましょう。

⇒国内サイト

⇒インターナショナルサイト

トップへ戻る
HOMEへもどる