05-06モデル試乗レポート


他社オールラウンドモデル

2005年4月1日
ARAIスキー場SG誌企画テストセンターにて
06モデル「HOT対決」

センター幅をワイドに設定したシェイプで不整地もOKというオールラウンダー的なスキーがいくつかのメーカーから発表されている。
サロモン対ノルディカ、HOTと名のつくオールラウンドモデルを比較検証!
どちらもONピステ70%:OFFピステ30%という設定、ふれこみである。
はたして何がどう「HOT」なのであろうか?

サロモン SCRAMBLER HOT
→とにかくイージーに滑ることが出来るお気楽スキー

スクランブラー・ホット全体

<スペック>
長さ:174cm
幅:
118−77−106(mm)
サイドカーブ:
R=17.5m


テールがちょっと燕尾っぽくなっている。
コスメはかなりシンプル。

スクランブラー・ホットビンディング パイロットはパイロットなのだけど、レーシングやデモのものとは違ってトゥとヒールの間のブリッジがない。
とにかく板をたわませようという設計だと思われる。
また、板そのものが非常に軽いという印象。
それもそのはず、心材は軽量イソコアで強度の部分は例によってモノコックの「殻」で支えようという設計思想なのだ。


最初にリフトまでスケーティングしたときはエッジグリップがえらく弱いような気がしたが、不思議なことに滑りだすとまあまあグリップしてくる。
まず整地のコースを滑ると、乗り味は「まさにパイロット」という感じだ。
ムニュ〜と板がたわんで多少ポジションが前後してもそれなりに回っていく。
予想されたとおり、板の走りはない。(まあ、期待する人もいないと思うが…)
雪面の凹凸をスキーのトップが拾うようなサロモン独特のパラパラ感はあるが、スピードを出しても意外となんとかなりそうだ。

気象条件付きエリア
アライにはピステンを入れない斜面(気象条件付きゾーンと呼ばれている、一応スキー場管理のオフピステ)があり、そちらで滑ってみた。
この時、山頂付近は風が強く、ざらめ雪の表面が軽くクラストしていて、チャレンジングな滑りが要求される。
こうなるとパイロットのイージーさが長所となるのだ。
要するに斜度、雪質の変化があっても楽なので余裕が出るのですね。
ただ、細かくターンしようとすると板の方向を自分で向けていく必要がある。


総合すると整地・不整地など様々なシチュエーションで楽をしたい方に向いているスキーである。

ノルディカ HOT ROD MODIFIED
→レーシーな板の走りとオフピステ向けの性能が同居

ホットロッド・モディファイド

<スペック>
長さ:170cm
幅:
119−74−104(mm
サイドカーブ:
R=16m

さて、ノルディカである。
このHOT RODのシリーズは、ほぼ同じ構造でセンター幅70ミリ台がMODIFIED、
80ミリ台がTOP FUELという2機種で構成されている。
前者がゲレンデ・整地主体でオフピステにも対応可能というものであるのに対し、後者はゲレンデ・オフピステ完全共用という位置づけだそうだ。
アライのレンタルにはMODIFIEDのみ入荷ということで、こちらのテストとなった。
まず、手に持ってみて思ったのは「重い」。
先にサロモンのイソコアの軽い板を借りたのでなおのことそう思ったのだ。
やはり原因はウッドコアであろう、こういう板はドッシリ感が持ったときも乗ったときもするものだ。


デザインはトップとテールに「爪」のようなチップがつけられたりしていて、ワルぶっている感じだ。
表面にはねじれ剛性を高めるかのようなリブが走っているが、基本的にはサンドイッチ構造。

ホットロッドモディファイドのビンディング板とビンディングの間のインターフェイス部分だが、ご覧のようにかなりメカメカしい。
マーカー、ビストと協力して作ったクロスバランスシステムなる仕掛けが装備されている。
これはプレートが前後で二分割されていてトゥ側のプレートからは後ろへビームが伸び、ヒール側からは前へビームが伸びている構造。
加重が前か後に偏ると自動的に反対側を抑えるように働くらしい。
なんとなくだが雪質の変わり目などでポジションを多少前後させるとシステムが働いているような気がした。


実際滑ってみると、サロモンに比べてドッシリ感、重厚感が強い。
スクランブラーのようにトップがパラパラする感覚はほとんどない。
表面が荒れた雪面もドバァー!と進んでいくようだ。
エッジグリップもかなり鋭く、レーシングスキーに近い感覚だった。
面白いのは、サイドカーブのせいか結構深めのターンを切っていけるという点。
基本的なセットならスラロームのポールにも入っていけそうだ。
サロモンのスクランブラー・ホットは板の反応がボ〜っとしているのでどうしても中回り以上のターン弧になってしまう。
ノルディカの方が明らかにターン弧の大小は幅広く対応できる。
板の性格として走りが強いのでサロモンに比べるとこちらの方が「板を操っている!」という充実感は味わえる。
が、乗り手が運動を要求されるのでサロモンと比べると脚が疲れる。


ここまで言えば皆さま予想がつくと思われるが…
教祖の「どちらがよりHOTか?」という判定はノルディカに軍配を上げよう。

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