05-06モデル試乗レポート


(他社モデル)

ARAIスキー場
SG誌企画テストセンターにて試乗の06モデルレポート

下記、独断と偏見をもって各社のニューモデルを斬る!?

ロシニョール ZENITH 10D
→適度に「ルーズ」なオールラウンドスキー

zenith10全体<スペック>
167cm
116-68-100mm
R=14.5m

このゼニスというシリーズはヨーロッパのゲレンデスキーヤーに受けているという。
カービングなのだが色々な操作・滑り方が出来るので、対応幅が広くて良いのだそうだ。
そういえばSJ誌の中でも編集長がべた誉めだった。
そんな夢のようなオールラウンド・カービングスキーなど本当にあるのだろうか?という興味は話を聞いたときから持っていた。


インターナショナルモデルとしては「Z5」までが記載されているが、日本向けにはこの10D、さらに上にアルチメイト(ULTIMATE)がデモ用としてラインナップされている。
(Z9はインターナショナルかジャパンオリジナルか不明)
恐らく、もともとは多用途ゲレンデスキーであったものを補強改良して日本の基礎スキー用として開発していったものと想像される。

zenithプレート 形状の特徴はセンターも含めて全体に幅が広く長さのわりには板の面積が大きく、安定感も高くなるとのこと。
表面の柄デザインはその幅を強調するかのようなデザインといえましょう。
外観を見るとデュアルテックという表記だが、7〜8割はサンドイッチ構造である。
さらに、プレート部分の基部にはラバーのパーツがかまされており、しなりを出すことをかなり意識しているようだ。
(左画像のゴールドの部分)


履いた第一印象は(リフトまでスケーティングで行ったとき)非常にプラスチック的な雰囲気。
何かにあたると「パコパコ」という音が聞こえてくる。
ブリザードの「キンキン」という高密度な感じとは全く異なる。
安っぽい感じだが、よく言えば「軽快さを感じる」となる。


滑り出すとレーシングモデルなどと比べて明らかに「ルーズ」な感じがする。
グリグリとエッジが食いついていくのではなくて、ゆるゆるという食い方と言えばよいだろうか?
ただし、そんな不安定な感じではないのが不思議なところ。
板を踏み込んだ後の「返り」もかなりもっさりしていてこれまたよく言えば「穏やかな」反応ということになるか…


この日はかなりな濃霧であまり高速での反応は試すことが出来なかったが、予想ではそこそこの高速安定性はあると思われる。
板を振り出してもよし、ぐっと乗り込んでカービングターンするもよしといった感想である。
板の反応がもっさりしているしているので小気味よいショートターンなどはやりづらく、どうしてもターンが長くなる傾向はある。
なにより緊張感を持たなくともいろいろ滑ることが出来そうなので乗っていて疲れないのが最大の長所ではないだろうか。
だからこそヨーロッパで受けているように思うのだ。


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アトミック LT9
→扱いやすいがやはり生きている「ベータな乗り味」

アトミックLT9全体<スペック>
166cm
108-65-94mm
R=16m

アトミックLT9テール扱いがアメアスポーツになったとたん日本国内での評価が急にはね上がったアトミックである。
W.C.などのレーシングでは異常なほど表彰台を独占してしまい、ちょっと興ざめという状況を作り出している。


最近は基礎スキーの分野でもサロモン、オガサカ等のメーカーと激しくトップ争いを演じていて、その層を狙って作られているのが、LTとかSTとかいうラインである。
(テールには「JPN」と日本向けに開発されたという表示がある)


LTはその記号から容易に想像できる通りロングターン用のスキーがベースとなって開発されている。
このLTのシリーズには上位機種にLT11があり、そちらの方がロングターン特性が強くLT9はある程度ショートターンもできるように扱いやすくアレンジされているという。
STは当然ショートターン用がベースである。
確かに、今回試したLT9はロングターンベースということでトップ幅がそんなに広くない。


正直、このベータ構造とういうのは乗り味が独特で好みで言うとそんなに好きではなかった。
が、乗ってみるとやはり「ベータな乗り味」ははっきりと感じられた。
どんな乗り味かといえば、滑走面で雪面を押さえているのではなくて、エッジの線だけで雪面を押さえている感じというべきか。
極端な言い方をすれば、経過はともかく角付けをすれば「エッジだけが」が立ってカービングターンになるのである。


なんとなくだが、ベータ型の凹凸が深い中央部分の方がエッジグリップが強く、平たいトップとテールはグリップ感が弱いような気がする。
買ってしまった人はその不自然さに慣れるか、無視するかする必要があるだろう。(気付かないという人もいるかも)


試乗当日は5月ということもあり雪は全くのザラメで、そのような状況下ではしっかり立ち上がった後にはっきりエッジを乗り換えるようにすると上手くいく。
かなりずらすこともできますよ…と言ってはいるが、やはり縦に乗り込んでいくと板の持ち味(結構縦に走る)が生きてくる。

重いビンディングしかしながら、このNEOXビンディングの重さには驚く。
板だけならそう重くないはずなのだが、どう見てもこの「専用」ビンディングが不必要に重量を増やしているような気がしてならない。
まあ、乗り味にそう悪影響を与えているとは思えないのでそんなに騒がなくても良いようにも思うが、普通のお客さんは結構びっくりするのではないだろうか。(いらぬ心配か…)
機能性能を犠牲にしてまで軽くする必要はないが、ここまで重くする必要も全く感じられない。
金型を起こしてしまったから重くてもこの形を無理やり使っているのではないかとさえ思える。


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ヘッド DEMO i.SL SW vist
→非常にまったりした平板オールラウンダー

ヘッドi SL vist全体<スペック>
161cm
115-63-99mm
R=11.5m

最近、積極的にサンドイッチの「平板」を出しているヘッドである。
これはスラローム用の平板をベースにゲレンデ全般で使えるようアレンジしたもののようだ。
プレートもレーシングと同様のVIST製を使っている。
まさにレーシング直系の構造なのである。


結構、板は薄いように見える。
乗ってみるとたしかに板は素直にしなると思った。
トップから雪面を滑走面でべったり押さえるような感覚が強い。
素材が良いのかザラメの凹凸の中を進んでもトップがパラパラするような感じはしなかった。


カタログ上は新たに「リキッドメタル」という新素材が使われているので、昨年のものより機敏に反応するという。
しかし、思ったより「返り」は弱く、スラローム的な「ビンッ」という反応を心ひそかに期待していたがそれは裏切られた。
かなりドロンとした板である。昨年は一体どこまでドロンとしていたのだろうか?
スピードに乗ってのミドルターンくらいが一番気分良く滑れると思われる。
ショートターンをしようと思うと、自分ではっきり動いていく必要がある。
それでもターンが長くなりやすい。

ヘッドi SLプレートちょっと気になったのが、乗っているとプレートのすぐ前が特に大きくたわんでいるような感覚であった。
板本体をレーシングよりもソフトに作ったが、プレートはレーシング同様のもので板がプレートの硬さに負けているのではないかと思われる。
(もっともそれが原因で滑りがおかしくなるという程ではないのだが…)


余談だが、表面に格子状のすじ模様があるがこれは傷がつきにくくする効果があるそうである。
オガサカが昨年から採用していて今期からはヘッドも使い出したようである。


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K2 APACHE RECON
→ワイドボディのゲレンデクルーザー

K2_アパッチ・リーコンK2である。
K2といえばファットスキーやテレマークなど実にアメリカンなラインナップを構えるメーカーである。
今回はファットスキー的なプロファイルを持つアパッチ・リーコンを試してみた。
<スペック>
174cm
119-78-105mm
R=18m

K2_アパッチ・リーコン・トップ部分白っぽい上品な色使い。
表面は結構複雑な形状で凝ったつくりである。
メタルの補強材が透けて見えるというデザイン。
メタルシートにパンチングホールを開けて軽量化と謳っているようだが、持ってみるとずっしりと重く、穴は単なるデザインではないかと思う。
トップ先端には爪のようなパーツが貼りついている。

アパッチ・リーコン・トゥーピース部ビンディングの取り付け部分。
なかなかにメカメカしい。
このトゥーピース部前方にある仕掛けで前半部分の振動を減衰するらしい。


実際乗ってみると、思った以上にゲレンデ寄りのスキーのように感じた。
恐らく表面の立体的な構造が影響していると思うのだが、板に乗り込んだときの反応が「ガッチリ」していて、反発もかなり強い。
勝手に不整地にも対応するタイプかと思っていたが、実は整地でのカービングターンに一番適性がある。
試乗したときの状況はかなり気温も上がってゆるんだザラメ雪で、表面も多少荒れていた。
その荒れた凹凸で板がはねる感じが強いと思った。(まあ、悪い暴れ方ではないのだけれど…)
ただし、ザラメでも表面が滑らかならば板の挙動も滑らかであった。


試乗したサイズに関して言えばサイドカーブも18Mあり、センター幅の広さもあってショートターンはかなりやりにくい。
広大なゲレンデを長距離クルージングするというのが一番このスキーにあっていると思った。


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フィッシャーAMC800
「中空のわりには」良い出来の超軽量スキー

AMC800全体フィッシャーのオールラウンドモデル的なシリーズにAMCというラインがある。
勝手に「ALL MOUNTAINなんとか」だと思っていたのだが…
実は「ADVANCED MULTI CONTROL」の略でした…
先進的多角制御スキーってなところでしょうか。


何種類かグレードがあり、900のみレーシングスキーと同様の構造でそれ以外はなんと中空構造なのだ!


今回試乗した800は中空構造のタイプで最上位機種となる。
本当は164cmを試乗したかったのだが、貸し出し中でやむなく158cmという短いサイズにした。


<スペック>
158cm
117-70-104mm
R=12m

AMC800トップ部表面にシマ模様のようなものが見えるが、これは角度によって色が違って見える。


子供の頃、見る角度で2種類の図柄が見えるというものがあったけれどそれと同じ原理のものがスキー表面に貼り付けられていると言えばわかってもらえるだろうか。
ありそうでなかったアイデアといえよう。

AMC800テール部テール部分にはスペックが表示されている。
デザイン的にはかなり斬新でこの面では「アドバンスド」と言っても良いと思う。


中空構造といえば、昔ケスレーで「エアロファイバーチューブ」という構造を採用したモデル(しかもレーシング)があったが、正直××であった。
と、いうわけでこのモデルも大して期待はしていなかったのだ。


まず、「中空」ならではの軽さは持ち運びには良い。
実際に乗ってみると、「中空のわりには」という形容はつくものの、なかなかの性能を実現させているといえよう。
「中空のわりには」板の挙動が落ち着いているし、「中空のわりには」エッジグリップがしっかりしている。
やはりスピードに乗って凹凸のある斜面を滑ると板がパラパラと落ち着かないがこれはまあ無理も無いと思う。
そこそこのスピードしか出さなければ「アラ」はあまり気にならないと思う。


総合すると前もってあまり期待していなかったのが良い意味で裏切られたといえよう。
裏を返せば、あまり期待しないで乗ると「意外と良い」評価になる板だ。


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フィッシャーRC4 W.C.SC
→超強力エッジグリップのスラロームスキー

06RC4 WC SCRC4はフィッシャー伝統のレーシングモデルにつけられる称号。
SCはスラローム用である。


フリークエンシーチューニングが進化して、より低周波振動を減衰するよう改良されたとのこと。
まあそれがユーザーに実感されるかは???だが…
とりあえずこれまでのモデルはレーサーの間では「タイムが出るスラ板」と結構評判が良い。

RC4 WC SC_トゥ部分板のしなりを出すためにプレート部分がモディファイされている。
プレートの端に透明な黄色のラバーがはさまれている。
フィッシャーと組んだビンディングメーカーはチロリアである。
(フィッシャーブランドで作られてはいるが、チロリアのOEMである)
ちなみに数年前はマーカーと組んでいたようだ。


実際の乗り味だが、とにかくエッジグリップが強い。意地でもずらさない!という決意さえ感じてしまうほどである。
安心してエッジに乗れて板も走る。「グイン!グイン!」と進んでいく感じである。
ただし、ただしで、ある。
あまりにエッジグリップがきついのである。
試した板は市販用のカタログモデルでカマボコ型の断面形になっているが、これが性格のきつさの原因になっているものと思われる。
あまり立体形状にこだわると自然な乗り味から離れてしまうものだ。
恐らく選手用の板はサンドイッチ構造で、これよりはもう少しマイルドな反応になると思う。


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サロモン DEMO10 2V
→多少のポジションずれも許容するロングターン専用機

DEMO10 2V Xボディ前

とにかく、こいつの売りは「Xボディ」という新しい補強構造である。
なにやら某国産自動車と同じネーミングである。
偶然の一致なのであろうか?
印象としては従来のプロリンクの代りに表面を盛り上げたような感じ。
これでスキーの端までしっかり押さえが効くというのだが…まあ確かにそんな感触はあったと思う。
形状が狙っている効果は確かに出ていると評価するべきでありましょう。
結構スピードを出しても昔のサロモンのような不安定感は感じられなかったことを付け加えておこう。
トップがパラパラと凹凸を拾うような感触があるもののエッジは「べったり」食いついていた。
決して「かっちり」ではなく「べったり」なのだ。車で例えるならば、昔のアメ車的。
ブリザードのIQなどはもっと欧州車的なカッチリ感がある。
どちらが良いかという議論はあまり意味がなく、好みで分かれる点だと思う

DEMO10 2V Xボディ_rearビンディング周辺のパイロットシステムは今までと同様の構造だ。
トゥとヒールの下に横に貫通するピンが差し込まれていてそこを支点に板がしなる。
しなった状態から戻りを出すため赤いラバーを挟み込んでいる。
まず始めに板をしならせる事を考え、次に板がしなったときの戻りを考えるという流れで開発されているのだ。


やはり、乗ってみるとパイロットシステムの特徴が色濃く出る。
加重すると「ニュ〜」と板がしなる。面白いのは加重ポイントが後ろに広いと思ったこと。
明らかにかかとよりに乗ってもサイドカーブなりに曲がっていく。
むしろ板を前に走らせるためにはかかとよりに乗ってやる必要があるくらいなのだ。
逆に意識的にトップよりに加重してしまうとスキーの進みが阻害されてしまう。
トップ幅が充分に広いため意識してトップをかませてやる必要がないのだ。


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サロモン DEMO10 3V
→視線を移すだけで曲がっていく超イージースキー

DEMO10 3Vトゥーピース部

SAJの技術選・検定という日本特有の事情をもっとも強く反映しているのがこのデモ10 3Vであろう。


上記の2Vと違ってこちらは昨年から大きな変更はないらしい。
ただ、私は今回初めて乗ってみた。
左の画像にあるとおり3Vの方はXボディは採用していない。


借りた長さは165cm。恐らく今時ゲレンデでオールラウンドに使うスキーヤーが良く選ぶサイズであろう。

デモ10 3V全体

ご覧の通りトップ幅はものすごく広い。
このためターンの始動など全く意識することなく曲がることが出来る。
右を向けば右ターン、左を向けば左ターンと、冗談ではなく本気で曲がっていくのがこのスキーなのだ。
ターンの深さは身体の倒す角度に比例するので、そのようにすればよい。
全くもってイージーなスキーである。
それでいてエッジグリップは結構あるので中の上程度の技術があればカービングターンが出来てしまうのだ。
さらに、2Vの項でも述べたが、パイロットの特徴であろう加重ポイントの広さがこれまたイージーさに輪をかけている。
多少乗る位置が後ろにずれてしまっても構わず回っていく感じだ。
あんまりイージーでどうかな?と思ったがピステンの入っていない斜面を滑るとこのイージーさが逆に滑りの余裕となって明らかにプラスに働く。
新雪などに入るとポジションを前後に調整する必要が出てくるが、このイージーさは確かにスキーヤーを助けてくれるというわけだ。
ただし、これはパイロットの欠点だが、どうしても板がしなった後にダイレクトな反応がないためショートターンは板なりにやっているとどうしても中ターンくらいに間延びしてくる。


最近のサロモンはとりあえずウソを言わなくなったという感想を持っている。
ちょっと前は「ワールドカップレーシングの現場からフィードバックされた…」などといって本当の現場で使われているものとは似ても似つかぬ製品を販売していたのだが、最近はその手の宣伝はなくなってきたようだ。
このデモのラインにしても一応宣伝で述べられているようなことは大体体感できた。
あとは、自分の志向に合うかどうかという問題だけなのだ。


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