ARAIスキー場
SG誌企画テストセンターにて試乗の07モデルレポート
06年4月23日、レースDFになったため、巷で噂の(?)フィッシャーのフローフレックスを試す。
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フィッシャー RC4 WC GSフローフレックス
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<スペック>
180cm
104-67-92mm
R>21m
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07モデルに向けてフィッシャーはフローフレックスという新型のプレートを開発した。
スキー本体とプレートとは2箇所のピボットで連結されていて、スキーのたわみを妨げず丸くきれいにしなる。
更にスプリングが前後と上下方向に入っていて、しなった時のコシや、しなった後の「戻り」を出しているものと思われる。
このスプリングの仕掛けが恐らく特許上もポイントになっているものと思われる。
「S社のパイロットとは違うのだ!」という発想がこのスプリングに表現されているのであろう。
このような結構「複雑な」仕掛けを市販用とはいえFISルール対応のレーシングモデルに搭載するというのは、一見大胆な決断に見える。
日本国内に限って言えば、従来の内容でも充分高評価を得てきたはずなのだ。
企業としては、やはり定期的に新機軸を打ち出したくなるということか。
板自体は見たところサンドイッチ構造だが、前後の端はトップシートがサイドに回りこんでいて少しキャップ構造的になっている。
これは耐久性を高めるための作りであろう。
耐久性が低いという評判でも立ってしまったのであろうか?
また、有害振動のみを減衰するというフリークエンシーのパターンはほとんど内部埋め込みとなっていた。
表面にうっすら見えるが、見せるも埋め込むも自由自在ということか。
さて、実際に乗ってみた感想であるが、試した日は4月23日、天候は良く気温も高かった…
ということで、レーシングスキーとしての特性は良く分からなかった。
ただ、このプレートの変化はザラメザクザクの雪でも良く分かった。
従来のものに比べてスキーの挙動が非常に穏やかになった感がある。
従来がサスペンションなしのリジッドの車両とすれば、この板はスプリング・ダンパーを備えた現在の当たり前の車両ということになるだろう。
この発想は、我らがブリザードとは大きく異なる。
ブリザードはIQシステムにしても、ここまで板とプレート以上を分離して考えない。
あくまでリジッドな要素を残しながら、しなりを出すようにしているのだ。
例えば、同じ大回転用のビストのプレートを乗せたブリザードと比べると、悪雪の上では格段に脚が楽であった。
限られた環境での試乗であったが、分かったのは…
●複雑な仕掛けのプレートだが、乗った感じはかなり「普通」
●板の挙動に安定感は感じる(すこしドロンとしている)
●雪面の凹凸でトップがパラパラすることはない
●板の「走り」などは良く分からなかった
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フィッシャーRC4 WC SCフローフレックス
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<スペック>
165cm
118-66-99mm
R=13m
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GSの次にスラローム用のSCを試してみた。
これまたフローフレックス搭載のFISルール対応のレーシングモデルである。
引き続き雪質はザクザクなのでレーシングモデルとしての性能は試す環境ではない。
前年のモデルを試した時はあまりに強烈なエッジグリップ感に面食らった覚えがあるが、コイツはずいぶん穏やかになったようだ。
前年と同じ雪質での試乗ではないが、恐らく07モデルの方が穏やかになっていると思う。
基本的な安定感はそこそこある。
オールラウンド的な使い方でもなかなか使いやすいのではないかと思った。
面白いのは、ターン後半少し後ろ寄りに加重するとぐっと前に板が走ること。
センター〜やや後ろ寄りに乗ると緩斜面でタイムが出るかも(?)
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ここで、フローフレックスのプレートの画像を…。
プレート前後の赤い部分はスプリング機構などに異物が入り込まないようにカバーするラバー製カバー。
板がしなるとこの赤い部分がつぶれるわけだ。
結構、複雑な構造でコストも上がりそうな仕掛けだが、もっとシンプルな構造でも同じような効果を出せるのではないかという気がしないでもない。
個人的にはこのプレートは「レースにも使えるオールラウンド用」ではないかと思う。
もうひとつ。
長さが大きく違っても同一のプレートがついていたが、GSで最大185cm、SCで最小150cmと30cm以上の違いがある板に対して同じでいいのかな?という気がする。
SCでのみはっきり板の走りが感じられたのはこの長さの比率の違いが原因ではないかと思われる。
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