08-09モデル試乗レポート


(他社モデル)

苗場スキー場
ICI試乗会:09モデルレポート

恒例となっているICIの試乗会。


ポールバーンが設置されていたので、レーシングモデル(それもSL)中心に15機種を試した。
とにかく一日で何台試せるか限界に挑戦!というくらいの勢いで乗り倒した感じ。


ブリザードは翌週たんばらで単独の試乗会があるので他社のスキーをひたすら試すことにした。
下欄の機種名をクリックするとその機種の記事に飛びます。


余談だが、会場では無料でバナナを配っていた。
食事の時間も惜しんで試乗するヲタクスキーヤーのための計らいであろうか。

フォルクルRT(レーシングタイガー)GSPS(パワースイッチ)
→なるほどスイッチで切りかわる板ですね

V_RT_GS_PS_all<スペック>
180cm
110-68-98mm
R=18.1m


公認大会で使えるレギュレーションには適合していない。

「パワースイッチ」とはフォルクルがリリースするバリアブルなフレックスを実現する仕掛けである。
スキーのトップシート両端の盛り上がり部分にカーボンナノチューブのワイヤが通っており、そのテンションを切り替えることでスキーの性格が変化するというふれこみである。


まず、スキーの基本的な性格はキャップ構造特有のエッジグリップが感じられた。
構造からくるエッジグリップの強さと言って通じるだろうか?

RTGS_switchこれが実際の「パワースイッチ」
テンションの強い順番に
・POWER(パワー)
・DYNAMIC(ダイナミック)
・CRUISE(クルーズ)
実際、この機構は体感できた。
一番「緩い」クルーズモードでは、体重をかけたなりにしなるばかりであったが、パワーモードに切り替えると足場のしっかり感が出てきていた。
(走りが出たとまでは言いがたいが…)
普段オールラウンドに使っていて、たまにポールに入るくらいというのが狙っている使い方ではないだろうか。

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フォルクルRT SLPS
→スイッチ緩めたらSL滑れなかったぞ

フォルクルSLパワースイッチ<スペック>
165cm
118-66-101mm
R=13m


パワースイッチ採用のスキーのSL版である。

カーボンナノチューブ+スプリングの入ったトップトップ部分。
赤く見えるバネはカーボンナノチューブの端がスプリングで結合されている。
ここがテンション変化の肝心な部分らしい。


さて、肝心の乗り味は…
最初、一番緩い「クルーズモード」にあわせていたら、SLポールのセットに入っても全く板の「返り」が感じられなかった。
そこでスイッチをパワーモードに切り替えると全く異なる性格に豹変する。
ちゃんとSLに必要な板の「返り」が感じられるようになったのだ。


私自身の感覚で言えば、体重の違いでこういった特性は変化するのではないかと思った。
体重が重ければ「パワーモード」(私は試乗時70kg以上)、体重が軽ければもっとテンションの軽い状態でちょうど良くなるものと思われる。
技術レベルやバーンコンディションの違いでスイッチの切り替えを使うというのはちょっと違うような気がした。


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エラン MAGFIRE 82 XTI MAGMA
→波板だけど意外と普通、どっかりがっつり滑る

magfire全体<スペック>
176cm
126-82-109mm
R=17.2m

いわゆるエランの「波板」である。
主にオールラウンドモデルにこの「波板」構造を使用していて、「フレックスは出るが、ねじれにくい」という触れこみ。
このモデルはセンター幅が80mmを超える「セミファット」というやつである。
この日のザクザク悪雪にはちょうどよさそうな気がして試してみたのだ。

ウエーブな表面実際、間近で見ると両端が結構盛り上がっていてボリューム感がある。
サイドウォールの部分がかなり高く、なんだか「箱」みたいなスキーだと思った。
デザインワークはなかなか面白い仕上がりで、オレンジ色の部分にハニカム状の柄が見えるが、これが奥行きを持ったように見える。
F社のAMCで使われていた手法と同系統のやり方であろう。
乗った感じは結構ドッカリとした安定感があるが、決してベッタリとした感じではない(ちょっとドライな感じ)
確かに悪雪でもかまわずドバー!っと進む感じがした。
ちょっとバックカントリーいこうかな?という使い方が適しているように感じた。


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ノルディカ HOTROD AFTERBURNER XBi CT
→どうにでもできるセミファット

ホットロッドアフターバーナー<スペック>
170cm
126-84-112mm
R=17m


HOTRODというシリーズはノルディカのセミファットのラインナップである。
以前、モディファイドというモデルを試したときはあまりにレーシーな乗り味で驚いたものだ。
そのままポールで使えそうな感じだったものね。

ホットロッドアフターバーナートップ部分柄エランもそうだが、こういったセミファットのモデルに対してはかなりデザインワークに凝る傾向がある。
この板は、ゴールドっぽい色だけどメタリックに奥光っている。
こういった部分も技術の発達が影響しているのであろうか?
以前の印象が残っていて、結構エッジグリップガッチリ、走りもあるのかな?と思いながら滑り出した。
すると、意外に板をどこへでも振りだせる感覚があった。
悪雪のコブでも「どうにでもできる」板である。
ターン途中で気が変わっても、曲がり具合を楽に変えることができる。
これもバックカントリーに持ち出したら良いのではないかと思わせる一台である。


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オガサカ U(ユニティ)Q1
→日本伝統の基礎板、楽チンですね

オガサカユニティQ1<スペック>
165cm
113-70-103mm
R=14.3m


とうとう乗ってしまいました、「オガサカ」(笑)
しかもバリバリの基礎板です。
かつて、検定1級、2級を受けようという「まじめな基礎スキーヤー」がこぞって買っていたのがユニティである(?!)
しかし、SLのガードをつけた人間が「貸してくれって」いくのも変だと思われたのではないだろうか。
ザラメの荒れた斜面を乗ってみたが、これは確かに楽だ。極端な挙動は一切しない。
しびれるような切れもないけど、コブではスルスルいけた。
驚いたのは、滑りが良い。さすが世界一の滑走面仕上げである。


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フィッシャーPROGRESSOR8
→切れ・走りが強烈なすごい基礎板

PROGRESSOR 8<スペック>
165cm
120-72-103mm
R=?m


フィッシャーの基礎板、というかゲレンデオールラウンドモデル。
長さこそオガサカのユニティと同じだが、トップ幅はこちらの方が7mm広い。
センターは2mm広くてテールは同じ幅。
これが乗ってみると、「こんなにもちがうのか!」と驚かされる。
切れ・走りが強烈で、競技用の板でもここまでのものはあまりないのではないかと思ったくらいだ。
正直走りの良さは感動的といってもよいほどだ。
まるで競技モデルに違うプレートを乗せ換えただけではないかと思うほどである。


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エラン SLX WAVEFLEX FUSION RS
→SLもできるオールラウンド板(微妙…)

SLX WAVEFLEX<スペック>
165cm
116-66-104mm
R=12.9m


「波板」のスラロームモデル。
ビンディング組み込みのフュージョンシステムも搭載と、カタログの機能満載である。
位置づけはSL競技にも使える(小回り向け)オールラウンドモデル。
SLにも使えるとあったので、ポールセットに入ってみたが…
結論から言うと、トップがパラパラする場面があった。ややドライな乗り味。
好みで言えばやはりSLには平板が良いと思っている。もっとしなやかな挙動でないと走りも生まれないだろう。
実際、競技専用には平板が用意されている。(そちらは乗れなかった)


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サロモン EQUIPE 3VRace+Z14LAB
→サロモン伝統の(?)理解に苦しむ挙動

EQUIPE 3V

<スペック>
165cm
117-65-102mm
R=12.5m


サロモンの3Vである。
一般レース向けorゲレンデでカービングを楽しむとかいう用途になるだろう。
これとは別に選手用のSLモデルがあり、それはこれとは別物である。
さて、SLのポールセットに入ったところ…
ややコース内が掘れてきたということもあるが、とにかくトップがパラパラ落ち着かない。
「どうなってんの?!」と思いつつ滑っていくわけだが、それでもなんとなく回ってしまう。
トップが仕事していないのにセンター付近のカーブで勝手にクルリ!と回る感覚だった。
ちょっと理解に苦しむ挙動である。


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アトミック SL 12RS
→走りはあるが、やはりエッジグリップは独特

A_SL12RS

<スペック>
165cm
112.5-66-101.5mm
R=12.7m


アトミックのSLモデル。
限りなく平板に近いキャップ風のつくりである。
…なのだが、やはりエッジグリップの感覚は「ベータな」感じがやや残っている。
と、いうのは滑走面の面で滑っているというよりも、エッジの線が効いている感じといえば分かるだろうか?
とにかくトップからエッジが効いてきて全体が噛んでグルリと回る。
思ったより全体にしなやかな印象があったのは正直意外だった。べったり感があるといっても良い。
かなり内側に入ってくるターン弧を描くように思う。
また、結構走りもある。


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ノルディカ DOBERMANN SLR WC PLATE
→直線的な性格のタイムが出そうな板

DOBERMANN SLR

<スペック>
165cm
??-??-??mm
R=??m


ノルディカの選手用SLモデル。
寸法スペックは非公開だが、見るからにトップ幅が狭い。
今回アトミックの次に試したのだが、同じ感覚ではポールセットに入れなかった。
トップが内側に入ってくる感覚はほとんどなく、「そこまでは乗り手がやってくれ」と言われていたようなものだ。
その代わり方向が決まれば縦に落ちていくだろう。
慣れはいると思うがタイムは出そうな板である。


余談だが、表面はザラザラ細かい凹凸がつけられており傷がつきにくそうだ。


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ヘッド WC iSL RD
→ヘッドはやはりすごくドロンとした板だった

H_WC_iSL

<スペック>
165cm
117-66-100mm
R=13m


ワールドカップでは高速系種目で大活躍のヘッドである。
B・ミラーも高速系とコンビでポイントを重ねて総合チャンピオンになっている。
コンビでも勝てるのだから、ヘッドのSLモデルもダメなわけではないだろうと思いつつ試してみた。
最近、このメーカーはラインナップの大部分をサンドイッチ化してしまって、どれが一般用かどれが選手用か非常に分かりづらい。
とりあえず一番表面に余計な付属物がなく、つるんとしているのが選手用だ(笑)


乗ってみた感想はどっしりと重量感を感じるが、踏めば回ってくるというもの。
俊敏な「返り」はなかった。ほんとにドロンとしている。
どうも2000年頃からSL系のモデルに関しては基本の性格が変わっていないように思った。


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フィッシャー RC4 WC SL
→穴は開いていないけど、操作性と切れのバランスが良い

F_RC4_WC_SL

<スペック>
165cm
??-??-??mm
R=??m


ヘッドとは対象的に技術系種目(特にSL)で活躍しているのがフィッシャーである。
なんといっても、前後両端を軽量化しようという「穴あきスキー」は話題になった。
しかし、穴あきにしてしまうとやはり強度は落ちてしまい、ポールに引っ掛けたりすると比較的たやすく割れてしまうらしい。
これは聞いた話だが、穴あきスキーをご注文の際は必ず予備も含めて2本オーダーしなければならないとのこと。
正直、穴あきスキーの効果についてはそれほど勝負を左右するものだとは思っていない。
アドバンテージがあってもその幅は僅かなものではないだろうか。


実際乗ってみると、穴などなくても普通に優れた板であることが分かる。
安心して攻めていけそうな感覚で乗れた。
ブリザードと比較しても似ている部分があると思う。あまり違和感は感じなかった。


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サロモン GS LAB+ZZspd/916LAB
→縦に落ちていこうとするFISルール対応モデル

S_GS_LAB

<スペック>
191cm
??-??-??mm
R=??m


アメアスポーツの元にアトミックと統合されたサロモン。
噂では中身はA社ではないかといわれている。
実際、トップ形状も細く丸みを帯びているし、言われてみればそうかいな?と思うところだ。


そういった噂は別にして、ポールセットの中での挙動だが、かなり安定している。
私自身普段はR21規制時代の板を使っていたので、かなり縦に走ろうとするなあと感じた。
トップからターンに入る感じはしないが、R27規制に合わせると大体こんな感じになるのだろうと思う。


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エラン GSX RACE
→女子選手用サイズで試しました…

E_GSX

<スペック>
181cm
??-??-??mm
R=??m


エランのレース専用平板。
たまたまサイズが出払っていて181cmを試した…が、わりとくる〜んと回ってくる感じだった。
恐らく、181cmというサイズがそうさせているのではないかと思う。
190前後の男子用サイズになるとまた変わってくるだろう。
GS競技においてはFIS規定の影響の方がメーカーごとの個性よりも勝ってしまっているように思う。
最後に乗ったオガサカのフィーリングでますますその確信は強まった。


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オガサカ TRIUN GS27
→FIS規定に従うとオガサカもこうなる?!

TRIUN_GS

<スペック>
190cm
104-67-89mm
R=27.3m


トライアンというのも乗ってみたかった板だった(興味本位ですが)
まず、アウトラインを見ると外国メーカーと驚くほど似ている。
やはり、FIS規定の影響が大きく影響しているのであろうか?
あまりトップ幅を広くしないでサイドカーブの大きさを出そうとしているのかもしれない。
どうもトップの形状などはS社のGSLABとやや似ているような…
ポールバーンは終了していたが、乗り味もS社と似ているような気がした。縦に行こうとする印象がある。


ただ、デザインは何やかやと言われそうな仕上がりだ。


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