今月5日に三浦敬三氏が亡くなられました。
各メディアには「日本スキー界の草分け」であり、100歳を越えても現役で滑っていたと紹介されていました。
私は直接の面識などありませんでしたが、新聞・テレビ・雑誌などを通じてそのスキー歴に驚嘆したものです。
敬三氏の年齢までスキーを続けるならば、私などはまださらに60年以上できる計算になってしまいます。
何よりすごいのは、「スキーのDNA」が代々受け継がれ、息子の雄一郎氏は冒険スキーヤーとして、孫の豪太氏はモーグルの五輪代表としてよく知られた存在になっているという点です。
ひとつの競技種目を代々追求していくという家系もあるでしょうが、三浦家はその時代の開拓者として「他の人がやったことのない」分野を開拓していったと言えるでしょう。
スキーというのは実に多様な楽しみ方、多様な方向性があるものだと家族ぐるみで示しているのだと思います。
そこには謙虚に自然と向かい合い、素直に技術を考える姿勢が見えるのです。
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「この冬は各地で記録的な大雪…」と各メディアが報じています。
私も新潟県内にいますが、実際積雪量はかなり多く幹線道路周辺などあまり見たことも無いような積もり方になっています。
さらに雪崩発生の報道など、雪国は危険が一杯であるかのような印象を与えかねない勢いです。
スキー場関係の状況としては、正月から成人の日あたりの休みまで何とか良い状況でしたが、それ以降はぱったり客足が遠のいているような印象を受けます。
ここまで連日大雪報道がされると、ある意味風評被害に近い状況が作り出されているのではないでしょうか?
新潟中越地震の場合もその影響がほとんどない地域まで影響を受けました。
今度は実際に雪崩や集落孤立の生じていない地域まで、「大雪で大変なところ」というイメージで語られてしまっています。
実際住んでいると大変は大変ですが、スキーなど遊びにくることを制限するものではありません。
知る権利を満たすのがメディアの使命ではありましょうが、その影響の大きさもまた考慮願いたいものです。
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IT業界の寵児ともてはやされていたはずのホリエモンが逮捕され、いつの間にか「ライブドア事件」とか「ライブドアショック」などといった言葉がマスコミに流れています。
かつて面白おかしく報道していたマスコミの最近の論調は、集約してしまえば、「企業価値を高めるのに使った手法は"実業"ではなく"虚業"であった」ということになるかと思います。
株式や企業を買収して企業価値を高めると言い張り、社長自信がマスコミに露出して半ばタレント化してライブドアという社名を宣伝したりしていましたが、「ライブドアといえばコレ!」という部分が見えなかったとは私も思っていました。
例えばヤフーならば検索ポータルサイト、楽天ならばインターネットショッピングモールという具合に「実業」の顔があるのですが、ライブドアに関してはそれが見えなかったというわけです。
他人の開拓した「実業」を金で買い取り会社の規模は大きくできたかもしれませんが、自分で創り出したものがない(ように見える)のです。
今のところ、スポーツ関連のメーカーでは異なった種目を得意とする複数の企業をグループ化して企業の体力を高めるという買収話がほとんどです。
スポーツの分野においては、実際にプレイすることやプレイするために必要なモノを創り出すことが不可欠となりますので、自分で創り出したものが無いような企業は存在しにくいと思いますが、イメージばかり先行させる企業には気をつけたほうが良いでしょう。
実質的な内容の無い商品を、さも「新しい」「画期的な」モノとして金をかけてプロモーションしてくるかもしれません。
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既に季節は2月となりました。
当サイトをご覧の皆様ならもう何回かスキー場へ足を運んだことと思います。
もしかしたら何がしかのトラブルを経験して、「スキー場のサービスはなっていない!」と感じられた方もいるのではないでしょうか。
サービス業というのは、不特定多数の人間を相手にしなければならないという特性上、全てをマニュアル化することは不可能でありまして、どうしてもその場で対応する担当者の資質で結果が大きく変わってしまいます。
破綻したリゾートを買い取り再生するビジネスが話題になることがありますが、実際ウインターリゾートに係わっていると、そこには容易に解決出来なさそうな状況が見えてきます。
現実の問題としては、とにかく忙しいときに頭数を揃えるのに精一杯で、働く人間の質にはこだわっていられないというところでしょうか。
人間、365日生活しなければならないので冬だけの仕事では暮らしていけません。
夏は異なった仕事をしている(あるいはしていない)人が冬の間だけ働くわけです。
安定した職場といわれる所でもプロフェッショナリズムに関して疑問を感じることがあるというのに、そのような労働環境で質の高いサービスが期待できるでしょうか。
無理とは言いませんが、なかなか難しいと思います。
これからのウインターリゾートはプロフェッショナリズムを持った人材の確保が出来るかどうかでその質が左右されることでしょう。
これはただ「がんばる」という範囲で出来るものではありません。
従来のやり方を踏襲していくのではなく、上手くいく仕組みを作るという知恵が試される部分かと思います。
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トリノ五輪が開幕して、日本人メダル獲得第一号になるのではないかと期待されていた女子モーグルですが、上村5位が最高順位と実にコメントしづらい結果となりました。
既に、「3Dエアの技は完成させたがスピードが無かったためにポイントを落とした…」というような分析話が出てきています。
確かにモーグルのルールをみると、「ターン技術:50%、エア:25%、スピード:25%」の配分とされていますので、エアの大技だけで勝負しようとしたのならば、それはいかがなものか…ということになるでしょう。
しかし、オリンピック前にこういう事態に陥るかもしれないということが想定できなかったのでしょうか?
ここで現在のモーグル競技の持つ問題点が浮かび上がってきたと思います。
モーグルという種目の特徴はまず第一にコブ斜面を早く破綻なく滑り降りてくるという点でしょう。
「エア」というのはその次に来る要素であって、添え物であったはずです。
ところが、エアの技に関して規制を取っ払ってしまったため、その難易度が極端に上がってしまいました。
そのためエアのトレーニングが「添え物」では済まなくなってきたと思うのです。
つまり「モーグル競技でどんな運動を競うのか」という焦点が定まらなくなってしまった状態です。
一般にスポーツの競技種目というのは、「より早く」「より強く」「より正確に」「より美しく」「より困難なことを行う」ということで定義されていると思います。
アルペンスキーやスピードスケートなどは当然「より早く」滑る競技と定義されるでしょう。
フィギュアスケートは「より美しく」「より困難なことを行う」競技になるでしょう。
モーグルに関してはこうした要素がごっちゃになってしまっているように見えます。
将来性が非常に心配になる種目です。
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どう見てもゲレンデでスノーボーダーとスキーヤーは仲がよくないように見えます。
同じ雪の上で行うスポーツですが、メンタリティはかなり違っているからでしょうか。
スキーの世界は統一されたスキー連盟が競技を統括しています。
選手は統一されたポイントで「格付け」され、ローカルのレースから登っていくとその頂点はワールドカップにたどり着くように出来ています。
良くも悪くも、統一された組織があるので、選手にとっては登る山はひとつなのです。
ところが、スノーボードでは世界で統一されたワールドカップは「一応」ありますが、アメリカなどでは独自に競う大会が別個に開催されています。
つまり、山がいくつもある状態です。
さらにローカルで仲間が集まるとそれだけで小さな山が出来て、そのてっぺんにいる人間を見て仲間内で「すげえ」などと言っているようです。
いろんなところにたくさん山があってそれぞれに「お山の大将」がいる状態です。
政治にたとえれば、スキーは中央集権的で、スノーボードは地方分権的と言えるのでしょう。
トリノオリンピックでハーフパイプのメダル獲得の可能性が高いなどと言っていましたが、てんで歯が立ちませんでした。
これは日本人選手の勝ったワールドカップという山がアメリカの山より低かったということになるのではないでしょうか。
しかし、これらのことをTVなどのメディアは前もってわかっていなかったのでしょうか?
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トリノオリンピック開催中で連日テレビなどで報道されていますが、近年まれに見る厳しい結果の連続で21日現在でメダルゼロという状況です。
開幕前は、女子選手などメダル期待の選手としてまるでアイドルかタレントのように取り上げられていました。
しかし、本当に競技に詳しい人から見ればそんなに甘いものではないのは周知の事実でした。
過去、アルペンスキーの歴史を振り返ってみても「ワールドカップで勝利したことがある」という程度では確実にメダルを獲得できないことがよく分かります。
元々一発勝負のオリンピックや世界選手権などでは偶然の要素に左右されすぎるので、何回も戦って一番を決めようというのがスキーにおけるワールドカップの発想でしょう。
一発勝負のオリンピックなどで確実に勝つのは、ワールドカップなら圧倒的な強さを発揮しているほどでないと不可能でありましょう。
全盛期のステンマルクやトンバくらいの勢いがないと「メダル確実」といわれた選手が実際にメダルを獲得することはないのです。
大体にして、ウインタースポーツというのは雪や氷の上という「一定でない」場所で行い、スキーやスケートのエッジというバランスのシビアなものに乗り、高速で滑っていくというものが多いのです。
こうした特性から、夏の競技以上にちょっとしたことがきっかけで大きく結果が狂わされます。
しかも外国には強力なライバル達がいるのに、彼らのことをたいして調べもせず日本のメディアはこぞって「メダルの期待」と騒ぎ立てていました。
実に脳天気な姿勢といわざるを得ません。
挙句に日本勢がメダルの獲得まで出来ない状況に至り、メディアは自己批判までする始末です。
結局、「有力選手」ではなくて「見た目の良い選手」を大手企業やメディアは客寄せパンダとして利用しただけで、その過程で競技種目の中身が考慮されることは無かったということでしょう。
経済合理性を重視したのだと彼らは言うかもしれません。
「合理性」と言いますが、経済的にはその場そのときの状況が辻褄合っていることが良しとされるものの、スポーツにおいては選手の発掘・育成から始まり、その積み重ねが上手く発揮できて、さらにライバルに勝てて評価されるのです。
きつい言い方をするならば、「経済合理性」を大義名分にうわべだけでスポーツを食い物にしようとしたものの、そのしっぺがえしを受けたと言えるのではないでしょうか。
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トリノ五輪アルペンスキーの男子スラロームで皆川選手が4位入賞しました。
3位銅メダルまで0.03秒という実に惜しい結果ではありましたが、一桁入賞は50年前の猪谷氏の銀メダル以来の好成績です。
さらに湯浅選手は7位と、一桁順位に二人が入ってくるという日本アルペンスキーのチーム力を示すことも出来ました。
有力選手が多く転倒、片反で脱落したという状況はあるでしょうが、結局その中でも良い滑りができなければ上位に入ることはできません。
ソルトレイクの時にショートトラック競技でブラッドバリー選手が周りの選手がバタバタと転倒したために本人も予想だにしなかった金メダルを獲得した事例を引いて説教をしたことがありました。
ショートトラックのように純粋に着順を競う種目ではそのような大きな「番狂わせ」が起きる可能性を秘めていますが、タイムを競うアルペンスキーに関してはポテンシャルを持っていないと絶対に勝負になりません。
そういった意味でも今回の4位入賞は重要な意味を持つといえるでしょう。
今回のオリンピックで日本勢の獲得メダルはフィギュアスケートの荒川選手の金メダルのみという状況で、スピードスケート、モーグル、ジャンプ、スノーボードHPなどマスコミが「メダル獲得の期待!」などと騒ぎ立てた競技は軒並みもう一歩のところでメダルを逃していました(もう一歩といえないものもありましたが…)
長野でメダルを獲得した競技はその後、緩やかな下降線をたどっているように見えますが、アルペンスキーに関してはチーム全体右肩上がりの勢いを示すことができたのです。
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スキーに入れ込んで「オタク」のようになると、上級者モデルやカタログ外選手用ばかりに興味が注がれがちです。
かく言う私も、「ブリザードはWC選手と同じ内容のスキーを販売しています」などと布教しています。
さらに「選手用はやっぱり良いなあ〜」などと言ってみたりもするわけです。
実は1月に「信者の広場」で初級・中級モデルの特徴を尋ねられたときに、私は「果たして自分はその質問に対して適切に答える資格があるのだろうか?」と思ったものです。
雪国に育ったため、初級・中級時代ははるか昔の子供時代でありまして、成人してからスキーを始めるとどんな苦労になるかは正直分かりません。
あくまでイマジネーションを働かせての答えでしかありません。
これがスキー自体の開発となると実は非常に難易度が高い仕事なのではないかと思うようになりました。
上級者やトップスキーヤーを対象にしたスキーならば目標が極めて明快なのである意味簡単(どんな性能を目指すか迷いがないということ)といえます。
スキーヤーに対しても、「これを使いこなすように技術を変化させて(あるいは高めて)くれ。」などということが出来ます。
開発段階でかかわるスキーヤーも、そのスキーに対してはっきり良し悪しを表現できる場合が多いはずです。
これが初級・中級モデルだったどうでしょう。
開発者はほとんどイマジネーションを働かせて作っていくことになるのではないでしょうか?
テスターが高度な技術を持つスキーヤーだったら、これはユーザーとは全く違った人達ということになります。
実際のユーザーにテストしてもらうとすると、初級・中級スキーヤーが的確な改善意見を述べることが出来るかという問題が出てきます。
すると、彼らの反応を解釈・翻訳しながらスキーの開発を行うことになるのではないかと思うわけです。
その過程で、各メーカーの思想が色濃く反映されていくのではないでしょうか。
現在、各社トップモデルはかなり似通った性格の板が増えてきたように思いますが、各社の個性が出ているのは実は初級・中級モデルではないかと思うのです。
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私事ですが、職場で働いているアルバイトは全員スノーボードをやる人達です。
彼らは色々な技を習得しようと、仕事のあき時間で一生懸命練習しています。(そのくらいの熱意で仕事もしてくれれば…というと本当の説教になってしまいますが)
私はスノーボードにほとんど興味が無いので詳しいことは分かりませんが、スキーに比べると動作がはるかに複雑なようです。
スキーより枝葉の技術が多く、比較的始めて日数の浅いうちから色々な技を「試していける」というのが、スノーボードにのめりこむ要因のひとつになっているのでしょう。
あまり堅苦しく考えるのはどうかと前置きして言いますが、彼らは雪上を滑走する基本をどの程度習得しているのか疑問を感じることがあります。
スキーであれスノーボードであれ、雪の斜面を滑り降りるスポーツは現在乗っている面に対して垂直に立つことが基本になるのは変わらないと思います。
そこから前後や左右に動いていけるのであって、その中立のポジションに常に持っていけなければ安定した滑走は望めません。
どうも、その辺をしっかり体得する前にいろいろこねくり回しているような気がしてならないのです。
思い返せばスキーヤーもかつては基本の中立なポジションが身についていないのに、「ウエーデルンだ!」などとこねくり回していた若者があふれていました。(いまだにこねくり回して滑っている人をたまに見かけますけれど)
いつの時代も小手先でこねくり回す人はいなくならないということでありましょう。
真実の技術の根幹は以外にシンプルであるはずなのですが、そこに注意を払わない人は技術的にひどく遠回りをしています。
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