説教の記録(81-90)


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81:2004年11月15日「新潟風評被害を救おう」

82:2004年12月2日「国際舞台で活躍する条件」

83:2004年12月7日「佐々木明の後向きゴール事件」

84:2004年12月22日「ドラマにでも頼る業界」

85:2005年1月19日「内倒と内傾と遠心力」

86:2005年2月22日「スキーを題材にした創作物」

87:2005年2月28日「アトミック表彰台独占」

88:2005年3月2日「技術選のルール規制と一般スキーヤーのギャップ」

89:2005年3月14日「様々な斜面を滑ることを楽しむ」

90:2005年3月25日「板とビンディングのインターフェイスのトレンド」

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新潟県中越地震が発生してからまるまる三週間が過ぎました。
現在、震源近くの被災地の被害もさることながら県全体の観光集客に対する風評被害の深刻さが表面化してきました。
スキー場周辺の宿の予約も余震があるたびにキャンセルの電話が入るといいます。
もともと、魚沼地区南部のスキー場が集中している地域は被害は軽微かほとんど無い状態なのです。
実際、震災直後でも湯沢町をはじめ南魚沼は自動車ならばほぼ平常どおり移動可能でした。


これから冬にかけて新潟魚沼地方は観光収入の大半を稼がなければなりません。
スキーオタクは放っておいても来るでしょうから、年末年始や連休に「普通のスキーヤー」がたくさん来るかどうかが問題なのです。
あなたのまわりに「普通のスキーヤー」がいたら、新潟のスキー場に行こうと言いましょう。
(あなた自身がそうならばご自身が行ってみてください)
それが風評被害に対する支援になると思います。

アテネ五輪で日本は史上最高のメダル獲得数を記録しました。
サッカーや野球でも国際舞台にどんどん選手が出て行っています。
我らがスキー界でも佐々木明が今までにない強さを感じさせるところまできています。
なぜこのような状況になったのでしょうか?
私は「日本人であること」「日本人としてどうするか」ということが意識されたからであると考えています。
人種民族の異なる人間が集まる中で結果を出そうとするならば、日本人という特徴を意識せざるをえません。
良い意味での民族意識が高まった結果といえましょう。


これらの対極にあるのが「平和ボケ」の感覚でしょう。
何の知識もなくただ盲目的に「世界の人は皆良い人だ」として、自分の感覚で勝手に皆同じだとみなして後でひどい目にあっているのです。
別に世の中悪い人ばかりでないのは当然ですが、利害が絡めば何時いかなる時もニコニコ友好的というわけにはいかないのです。
自分の感覚だけで判断せず相手を知ること。自分は何者で特徴は何なのか?相手に主張すべきことは何なのか?相手の出方はどうなのか?
これらの事が必要になってくるのです。


スポーツの勝負というのはそのルールの中で利害が対立している関係です。
誤解を恐れずに言えば、競技中はある意味戦争状態のような緊張があるのではないでしょうか。
別に、戦争をする国がスポーツ強国になるとは申しませんが、日本が金メダルを数多く獲得できた背景には、外国に対して利害が絡んだ中ではっきり主張する体質になってきたことがあると思います。

12月5日に行われたビーバークリークのWCスラロームのレースで佐々木明が一本目を後ろ向きにゴールして物議をかもしています。
私自身は映像で見られる環境にありませんから前後どのような状況であったかは全く知りえず、「後ろ向きでゴールした」という言葉でのみ情報を得ているだけです。
過去、引退レースでスキーを外してゴールラインを切ったとか、レース運営のあまりのひどさに抗議するということで全部クローチング(SLで)などということはありましたが、今回の行動はそのようなものではなかったようです。
それでも12位になっているわけですが、まともに滑っていたらひとつ順位が上がっていたはずだとのことです。


我々平凡レベルのスキーヤーとは違う感覚を持っているのかも知れませんが、佐々木選手は今回の行動については周囲の人間からとっちめられるでありましょう。
以前の説教で「うさぎとかめ」の話を例に出しましたが、彼は最後の一押し、最後の一滴とでもいうべき努力を放棄してしまいましたからその点はやはり指摘されるなければなりません。


ただし何時までももめていてもしょうがありません現時点での目標がWC優勝と公言している以上、後は日本人初勝利を挙げることです。
そのときに初めて今回の事件が許されることになるのだろうと思います。
逆に一生優勝できなかったら、それこそ一生言われることになるでしょう。

いわゆる月9枠ドラマ、「ラストクリスマス」が先日終わりました。
放映直前まで撮影をしていたらしいとか、最終回近くの展開がバタバタだったりとか(いきなり1年後かよ!)、アメリカやカナダのシーンが北海道での撮影だったりとか(北米なのに車が右ハンドルかよ!)...
まあ色々言われておりますが、最近のテレビドラマとしては上々の視聴率だったとのことです。


振り返ってみればスキー雑誌が特集記事を載せていたり、SAJのサイトが紹介してみたりと、ドラマ自体はスキーにたいして内容を割いていないのにスキー業界が必死になっている姿がよくわかったというところでしょう。
いまさら「私を〜つれてって」並みのムーブメントなど起こりっこないことは百も承知なのに、騒がずにはいられないこの業界も困ったものです。
しかも、衣装協力ということでクレジットされていた某P社はドラマ放映前に経営再建のために再生機構が入る始末。
さらに新潟県中越地震でスキー場そのものの被害はほとんど無かったのに、地震というイメージで宿泊はキャンセルが多数発生し経済的打撃が心配されています。
さらにさらに本州のスキー場は雪の降りだすのが遅く、12月20日を過ぎてもまともに営業できないところばかり。


暗い話ばかりの連続でしたが、アルペン競技では佐々木、皆川の好調が伝えられ今シーズンは日本チームは期待が持てそうです。
産業、市場としてのスキーは厳しさのみが目立ちますが、スポーツとしてのスキーがさらに根付いてくる要素はまだまだあると思いますがいかがでしょうか。

「もっと身体を内側に倒して!」
最近耳にすることの多いアドバイスではないでしょうか。


しかし言われたとおりに倒したのに、「内倒」という良くない状態になっているとはどういうことなの?と、戸惑われた方は結構多いのではないでしょうか。
良い倒れ方は「内傾」(ないけい)、良くない倒れ方は「内倒」(ないとう)と言い分けられています。


実際、内側に傾くことが多いのは確かですが、傾くことをまず行おうとするとおかしなことになります。
自分の足で全力で走っている時、カーブを通過する際には身体を内側に倒すでしょう。
しかし、ゆっくり歩いている時に同じカーブを通っても倒す必要はありません。
身体にかかる遠心力が異なるからです。


ここまで申し上げればもうお分かりでしょう。
まずはしっかり遠心力が働くようなターン弧を描けるようになる必要があるのです。
外足主体でしっかり加重できるようになったその後、身体を内側に倒すという段階になるということです。
外足にちゃんと加重するには前後のバランスを保つ必要があります。
その上で内傾という横方向のバランスを追求すべきだと考えます。

SAMURAI BOYというスキーを題材にしたコミックが出ていました。
しかも岡部哲也氏原作でSAJ推薦となっています。
どんなものかと読んでみたのですがあまりにもすごい展開でシビレてしまいました。
立ち読みでもなんでも見てもらえればどんなものかわかると思いますので、細かい説明は省きますが、何がありえないってあまりに短時間で上達してしまうってところです。
(スキーを始めて一年後には全日本、ワールドカップクラスだって…)
そのくらい圧倒的な天才でないと世界で勝負できないということが言いたいのはよ〜く分かるのですが限度ってものがあるでしょーに…
雑誌掲載のペースなどいろいろ事情はあるものと推察いたしますがねえ…
(他にも絵柄が軽過ぎ、もっと言えば絵が上手くない、とか気に入らないところはあるわけですが…)


そもそもスキーを題材にした創作ストーリーは数少ない存在です。
スキーのアルペン競技自体、個人個人が順々に行うので対戦で生まれるドラマは描きにくく、時間にすれば1〜2分程度で終わってしまいます。
野球やサッカーなどの球技のようには話を作れない競技特性といえます。
難しいとは思いますが、その辺を理解したうえで面白いストーリーを作ることの出来る作家が出てこないかと思う今日この頃でした。

ボルミオで行われた世界選手権の表彰台の写真を見ますとやたらとアトミックが目立ちます。
今期は世界選手権以前のワールドカップのレースでも特に男子の種目で目立っています。
表彰台を独占していた種目も多々見られます。


この状況を見て即「アトミックが良いスキー」と思うのは間違いです。
「アトミックも良いスキー」なのです。
トップクラスの選手が使うスキー板に関して言えば、長さ・サイドカーブにレギュレーションもありメーカー間に大きな性能差はないと思われます。
あとは、乗り手をいかに確保するかという問題になるわけです。


USAチームのエースでランキングトップを走るボーディを押さえ、イタリアチームのスラロームトップのロッカを押さえ、フィンランドチームでは当然パランダーを押さえ、オーストリアではヘルマン・マイヤー、ベンジャミンライヒ、ヴァルヒホッファーを押さえ、女子ではブリザードで総合優勝したドルフマイスターを引っこ抜いています。
他にも膨大な人数の選手に供給しています。
これだけ各国のトップランカーを揃えたら表彰台に登らない方がおかしいというものです。
少なくとも簡単に「アトミックが一番良いスキー」とはいえないということがお分かりいただけると思います。

技術選で一般スキーヤーとのギャップをなくすため、レーシングワンピ禁止だとかスキーの本数を3本に制限するというルールが実施されているそうです。
ワンピ禁止はともかく、スキーを3本とは…普通一般のスキーヤーが3本も板を持っているとでも言うのでしょうか。
現実問題として、競技上点数を出すのに種目ごとに板を用意しなければならないという認識があるためこのようなことになると思われます。
例えばロングターン用、ショートターン用、コブ用といった準備がなされているようです。


ジャッジの点数の出し方、メーカーの板作りの都合がそのような状況を作り出しています。
ジャッジにしてみればショートターン用の板とロングターン用の板で同じ種目を滑られても公正な判断をする自信がないでしょう。
メーカーにしてみればいきなりオールラウンドな板などと言われてもすぐには提供できないでしょう。(海外のメーカーならばなおさら)
やむをえないとは察しますが、やはり一般的なゲレンデスキーヤーの感覚に合わせたというよりもスキー連盟とメーカーの利害が一致した結果だと思われます。


しかし、スキー場のトップからふもとまで滑り降りるとき、たいていは急斜面、緩斜面があり、場合によっては整地の他にコブなど様々なシチュエーションがあるはずです。
自分のスキー1本であらゆる斜面状況を滑ることが出来るか?というのが一般スキーヤーにとっては現実的な問題だと思います。
実際、スキー学校で講習を受ける場合、生徒は1本のスキーでいろいろな斜面を滑るのが現実でしょう。
制限するならば、やはり板は1本だけということにしないと意味がないのです。
あるいは「スキー機種制限の部(一種類のみ)」と「スキー機種無制限の部(何本使っても可)」と両方やるのもひとつの手ではないでしょうか?

私事ですが、生まれ育ったのは新潟県の某観光地で家の目の前にはスキー場がありました。
冬の遊びといえばそれはほぼイコール、スキーであるというような環境です。
子供の頃は周りの友達とスキーをする機会が当然多くなります。
そんな小学生の頃、誰がスキーが上手いのか?という問題についてはこんな基準で優劣が意識されていたものです。


まずは、滑り降りることの出来る斜面の斜度。
低学年であれば、大多数の子供は緩斜面くらいしか転ばずに降りていけませんでした。
整地された中斜面、急斜面でも転ばずに降りてこれればまずは一目置かれたものです。
中学年、高学年になってくると中斜面くらいは皆転ばずに降りてくるようになります。
ここで差が出てくるのは、荒れたコブの出来た斜面を降りられるか?という点に移ってきます。
えてしてコブになる斜面は斜度も急なことが多いためやはり急斜面を降りてこれるということに変わりはなかったのです。


その後は校内のスキー大会などで誰が早いか?といった客観的な(?)尺度が出てくるものですが、
思い返してみれば、タイムがどうのという前の段階が一番滑ること自体を楽しんでいたような気がします。
「目の前の斜面をどうやって滑ってやろうか…」
まさにシンプルに自然に向き合っている状態です。
大人になっても忘れたくない気持ちです。

以前、スキー板のトレンドとして板とビンディングの間にあるプレート等のインターフェイスが重要にになってくると申し上げました。
バックカントリー、フリースタイル用途は別として通常ゲレンデ用途については私の申し上げたとおりインターフェイスを強調した広告が目立ちます。
やはりサイドカーブは行き着くところまで行ってしまったため、板のしなり具合と戻り具合のコントロールに関心が集まっているのでしょう。


同時に専用ビンディング指定というモデルがますます増えていいます。
板とビンディングのメーカーがグループ化しているという事情も確かにありますが、販売店にとっては取り付け作業が劇的に楽になるというメリットがあります。
「ドリルを使わなくなる」という言い方をするようですが、すでに用意された穴に合わせてネジを打つとか、レールに差し込んでネジ1本だけでとめるような感じです。
昔はドリル作業で何か間違いでもあれば板1本がダメになり、その損害数万円ということがしばしば発生していたわけですがそういう危険性はこれで回避できるわけです。
単純に取り付け時間は短縮できますし、さらに機種によってはブーツサイズの変更も簡単にできるというものまであります。
職人的な扱いが要求される部分がどんどんなくなっているといえましょう。
これがさらに進むと店はキット化された板・ビンディングをユーザーに渡して、代金をもらってハイおしまい!という光景も見られるようになるのではないでしょうか。
当然、通販も増えていく可能性があります。
合理化を重視した量販的な店と、プロショップとさらにはっきり分かれていくことでしょう。

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