異端審問所(変わったグッズの試験)

テレマークスキーに手を出してみた

テレマークといえば近年スキーと名のつくものの中では唯一大幅な伸びを示している分野である。
一般のアルペンスキーヤーの中にも興味を持つ人が増えてきているし、スキー関係の雑誌にもたびたび取り上げられている。
以前の勤務先がアウトドア用品を扱う店であったこともあり、一度はやってみる必要があるなあと思っていたのだ。


「習うより慣れろ」とはいうものの、最初は習った方が取っ掛かりとしては良いと思われるのでまずは基本を習いにいったのであった。

サーク事務所

本州のスキーエリアで一番テレマークの盛んなところは妙高ということになるだろう。
知人もいるということで、最初に習いに行ったのは妙高高原でもマニア度が高いといわれる関温泉であった。
時に2003年3月3日。


関温泉でテレマークのスクールとガイドを行っているsarc(サーク)に用具のレンタルと講習をお願いした。
左の画像はサークの事務所。
プレハブの小屋である。
サークはプラスチックブーツと幅広のカービングシェイプの板を使った最新傾向のテレマークを教えてくれるということで結構人気が高い。


テレマークというのは、クロスカントリーのような道具で斜面を滑り降りるためのテクニックから発生してきたといわれる。
構造的な特徴はビンディングによってかかとが固定されていないという点である。
定義としてはそのようなビンディングを使って斜面を滑降してくるスキーということになるであろう。


テレマークも10年ほど前まではクロカンと大差ないブーツ・ビンディングを使っていたそうである。
(ブーツは革製、ビンディングは3ピンといってつま先だけを挟み込むもの)
板にかろうじてエッジがついているというのがクロカンとの違いだったりしたわけだが、最近はほとんどがプラスチックのブーツになり、角付けに対する剛性が飛躍的に向上した。
また、近年はダウンヒル性能が次第に重視されるようになり板の形状は事実上アルペンと大差なくなってしまったのだ。
当然板のシェイプはカービングである。
さらに、バックカントリーという環境を滑るために深雪を楽に滑るために幅広のファットスキーが主流になりつつある。
05年3月に行われたテレマーク協会のイベントで見たグッズ最新傾向

サークのテレマーク講習

そうなってくるとテクニックも変わってくるそうで、スキーの前後差も昔ほど大きくとらず、左右の角付けでターンしていくという。


左の画像はそんな最新テクニックを基本から教わっているところ。
まずは平らな場所でテレマーク姿勢はどんな状態なのか体験してみる。
一番左の黒いウエアを着ているのが講師役のサークの武田さん。
「前後差はせいぜいこの程度です」とのこと。
右側手前が私。
ついついガバッと大きく前後に開いてしまい失敗する。
あまり前後差を大きく取ってしまうとグルリと回りすぎてしまうことが多い。
ターン時は内側の足を後ろに引いて体全体を傾けて角付け、そうすると板のサイドカーブで自然にターンする(はず)。


しかし、連続してやっているとふとした拍子に前後差のつけ方が左右逆になったりする。
(テレマークとアルペンでは前後差のつけ方が逆になる)
危険回避のひとつの手としては板の真ん中に乗りっぱなしでアルペン的なターンをするのもありだろう。
2時間ほど緩斜面で基本的な練習をしたあと中斜面に行ってみたところ、ごまかしごまかしならば降りられないことはない。(一度顔から転んだが…)


翌シーズンには一式揃えてみることにした。

テレマークの道具





2003-2004シーズンには左画像の道具を買い揃えた。


職場で揃えられるものということで下記のラインナップ。
●スキー:ブラックダイヤモンド・ヌーニョ
→滑降から歩行の多いツアーまでオールラウンドに使える
実際の製造はアトミック
●ビンディング:ロッテフェラー・コブラ
→プラスチックブーツ用にしっかりしたスプリングカートリッジをつけたケーブルビンディング。
カービング対応で20mm高のプレートがついている。
●ブーツ:スカルパ・T2
→日本国内で最も数多く販売されているらしい。
ヌーニョ同様、滑降から歩行の多いツアーまでオールラウンドに使えるのが特徴。
●ストック:ブラックダイヤモンド・フリックロックトラバースポール
→レバーを起こすだけで長さ調整が出来るアジャスタブルタイプ。
スクリュー式に比べてはるかにすばやく確実に調整可能だ。
価格設定がこの手のものにしては手頃だと思う。
実際の製造はジプロン。


とりあえず初めて買い揃えて、ツアーも滑降も行うという場合はこのような内容になるらしい。


さて、2004年の1月某日、かぐらスキー場に持ち込んで初乗りということにしたのであった。

スカルパT2

スカルパというメーカーはイタリアなのだが、本業は登山靴でアルペンスキーのブーツは作っていない。
プラスチックシェルのスキー用はテレマークとアルペンツアーのものだけである。
ゲレンデ用のスキー用品を作るメーカーとは業界がちょっと異なる感じだ。


このT2というブーツは(T2以外もそうかもしれないが)とにかく足首のフィットがタイトに出来ている。
左の画像でまずインナーを履いているが、ちゃんと理由があって、こうしないとシェルに足が入らないのである。
普通のスキーブーツのようにインナーがシェルに入った状態では全く履くことが出来なかった。


インナー自体はツアー時にテントシューズにでも使うためなのか、底が妙にしっかりしたつくりになっている。
ご覧の通りシューレースがついていて、これだけである程度履いていられるようになっている。

かぐら





画像はかぐらのメインゲレンデ。
結構な中斜面である。


あやしいテレマークながら何とか降りられるようにはなった。
どうもちゃんと上達しているのか何なのかよく判らない感じであった。
もう一度習いに行ってみようかと思った。

バラギ嬬恋ゲレンデ


2003年2月某日


群馬県内でテレマークを教えているということで、勤め先のお客さんに薦められたのが嬬恋の長谷部テレマークスクールであった。


現在はパルコールに吸収されているが、この時はバラギ高原嬬恋ということで独立した営業を行っていた。
非常に幅が広い緩斜面が特徴。
良く言えばファミリーが安心して楽しめるスキー場。
テレマークに慣れるには好適と言えよう。

長谷部先生

長谷部テレマークスキースクール「INDY」というのが名称だが、連絡・申込みは携帯電話に直接連絡するようになっている。


電話すると「午後なら講習できます」とのこと。
「緑色のウエアを着ていますのでリフト乗り場付近に来てください」といわれて約束の場所に行くと颯爽と現れたのが左の画像の長谷部氏。


講習内容は、非常に理にかなっていて合理的な方法で体の動きを習得する。
ひとつの方法であまり上手くいかないとまた別のやり方を繰り出してくる。
かなりプロ意識の強いインストラクターといえましょう。


初めてテレマークを習う方には強烈にお奨めする。


私自身は習ってどう思ったかというと、ターン中はかかと側をいかにしっかり押さえるかが大切だと感じた。
前後差をとっても引いた方のかかとが押さえられていないと、ズルっと板が回りすぎてしまう。
また、ひざ下だけで角付けするような小細工は禁物。
これも行うと板が変に回りすぎて非常に不安定になる。

2004-2005年シーズンは一度もやっていません…

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