説教の記録(11-20)


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11:2001年12月10日「祝愛子内親王ご誕生」

12:2001年12月14日「sakanayaさんの質問への回答」

13:2001年12月17日「縦に落ちていく事―雑誌の悪影響」

14:2001年12月24日「お金を出して買うこと―感謝の気持ち」

15:2001年12月30日「見せかけの改革にだまされてはならない」

16:2002年1月1日「2002年新年のご挨拶」

17:2002年1月9日「スラロームの板選びの難しさ」

18:2002年1月18日「多様なシチュエーションで滑ること」

19:2002年1月28日「初級者指導―良いスクールとは」

20:2002年1月31日「ミナミ倒産―形から入るスキーヤー」

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皆さん御周知の事と思いますが、12月1日、皇太子妃雅子さまが内親王を御出産され、その後7日にお名前は愛子さまと決まりました。
スキー業界を含め世の中良い話が本当に少ない中、久々の明るい話題と言えましょう。
そこで私が期待したいのは山やスキーに親しまれている皇太子御夫妻が家族そろってスキーを楽しまれ、その影響でスキー業界も盛り上がっていくという事です。
志賀高原でスキーを楽しまれた際、皇太子御夫妻が上手であったため護衛の人間が追い付けなかったというエピソードがあるほどですから(護衛の人間がまるで初心者だったという証言もあるが…)、愛子さまをアルペンレーサーとして育てられたら、これまた楽しいのに!などと思ってしまうのでした。


「皇族レーサー愛子さま」
なにやらテレビドラマか漫画のタイトルのようですがなんだかわくわくしませんか。
レーシングスキーのような(比較的)危険なスポーツはおそらくおさせにならないと思いますが、もし実現してトップシーンでご活躍されるならこれは盛り上がること間違いなしだとおもいます。


ウエアは多分某P社でしょう。(皇太子殿下がスキーを楽しまれている映像、写真をお持ちの方は見てみて下さい。某P社を着ているはずです。)
使用マテリアルはブリザードと言いたいところですが、やはり国産になるのでしょうね。
O社かM社かはたまたJ社のHとかあるいはKなんてこともあり得るかな?
曰く「KEI‐SKIのKは皇室ご用達のK」なーんちゃってね!

信者の広場にsakanayaさんが書きこんだ内容にお答えいたします。


質問:「身体が落ちていくとはどういうことか?」


回答:「谷側に向かって立ちあがる」と身体が落ちていく状態になります。
ひとつのターンが終わる時、上体から谷側に向かっていくと「落ちていく」状態になります。
さらに言うならば「腕を前に出し(ひじが脇より前にある状態で)」、「額から谷側に向かっていく」ようにするのです。
左右の動きを横とすれば、これはいわば縦の動きと言えるのです。
現在のカービングスキーは実はそこまで身体を落としていかなくてもそこそこ滑る事ができてしまいます。
私自身も経験がありますが、完全に上体が遅れてまともに加重できなくてもスキーがそのサイドカーブでどんどん回ってしまうことすらあるのです。


このように縦の動きを行わないと何か弊害はあるのでしょうか?
あります。
ひとつは、カービングしているのに暴走気味になってしまうということ。
一見、板は回っているのにスキーは乗り手のコントロール下にありません。
その結果、斜面変化にも弱くなってしまいます。
レースの場面では完走できるのにタイムは出ないという状況が予想されます。
スキーがコントロールできないとポールセットをぎりぎりまで攻めることはできないのです。
次回はこのような状況が発生しやすい背景を考えていきたいと思います。

このところ、カービングスキーのサイドカーブに乗せられて左右の動きばかり意識して身体の落ちていかないスキーヤーが多く見うけられるようになりました。
カービング以前の時代の基礎スキーヤーにはワイパーのようにスキー板を振り出すばかりで縦のエッジングを行わない人が多くいました。


なぜこのようなスキーヤーが多く発生してしまうのでしょうか?
ここにスキー雑誌の滑走写真の悪影響が見られるのです。
雑誌掲載の写真の最大の問題点は、正面からのものがあまりに多すぎるということです。
このような写真は左右の動きは良く見えますが、フォールラインに向かう縦方向の動きは極めて判りづらいのです。
いかにフォールラインに向かっているか(あるいは向かっていないか)を表現するには当然スキーヤーの横から撮影しなければなりません。
これは移動距離が大きく撮影難度が上がる割に、できあがる絵は面白みが少ないためなかなか誌上で見ることができないのです。


同じ振り幅のターンでも最近のカービングスキーを使うと、かつてのスキーを使った場合に比べてターン半径が小さくなります。
ターン半径が小さくなってもスピードはほとんど変わらないため、その結果ターン中の遠心力が大きくなりました。
その遠心力に対応するために身体の内傾角度を大きくとる必要が出てきたというわけです。
これを正面からの写真で見せると、左右に脚を振り出していると誤解する人が出てきてしまいます。
真面目なスキーヤーはスキー雑誌を見て新しい技術を勉強しようとすることがありますが、雑誌だけを見ていては技術の核心部分はつかみづらいのです。
やはり、実際滑走している状態を見るか、せめて映像で見ないと本当のところはわからないと言えましょう。
スキーで滑走することは動作の連続であり、時間の流れの中でイメージをつかまないと上達することはできないのです。

不景気、デフレなどと言われ続けている昨今、「どうせならより安く買い物をしたい」という気運は高まる―方のようです。
スポーツ業界も例外ではなく、同じものなら安い店で、あるいは安くなった時期に買おうという人はたくさんいます。
そのこと自体は、各人の自己責任で利益 にも不利益にもなり得る現代の流れの中では当然の事と言えましょう。


さて、そんな中であえて考えてみたいのですが
お金を出して買うという行為の本質とは何でしょう?


それは買おうとするモノ(もしくは無形のサービス)や、提供してくれた人の行動を評価し認めてその価値をお金で支払うことではないでしょうか。
そこには「感謝の気持ち」が存在しています。
度を越した安価の要求は、モノであればそれを製造する事に携わった人々を蔑ろにすることになるのです。
製造、流通上の合理化努力を怠ったり不要なサービスを押しつけた結果の高額プライスに対しては、その引き下げを要求する事が当然ですが、それ以上の安値を求めるのは理不尽です。


皆さんも真にお金を払うべきマテリアルを見きわめ、感謝の気持ちを持って購入、使用しましょう。

21世紀最初の年に何かやろうと思い、本教会を立ち上げた2001年も早いもので残りわずかとなりました。


政治の世界では聖域なき構造改革をかかげる小泉首相が人気を博し、まさに世の中トータル「改革ムード」が充満していたといえましょう。
スキーの世界といえば相変わらずサロモンの一人勝ちという状況が続いています。
パイロットシステムなど一見「革新的」に見える新機軸を打ち出し、それを履くと一見技術レベルが上がってしまうかのような幻想をつくり出していたのです。
今年もそんな幻想に踊らされたスキーヤーがたくさんいた一年といえましょう。
いかに身の無い新機軸であるか歴史を見れば一目瞭然です。
リアエントリーはスキーブーツの革新と高らかに宣言しておきながら、今では伝統的な4バックルブーツをせっせと売っています。
ビンディングの革新というふれこみで登場したパイロットシステムも、「ただ単にしなれば良いというわけではない」ということを証明するかのように、今度はしなりを制限するタイプが登場しています。
そして今、リーゼン用にトップを狭く作ってブーツセンターを前にずらしたスキーを出しはしたものの、来期に向けては他社同様、幅の広いトップを持ったモデルがメイン機種になるという噂がしきりです。


心ある信者の皆さんはこのような見せかけの「改革」に惑わされることなく信実の技術を実現する信実のスキーを広めていきましょう。

あけましておめでとうございます。
本年も信実のスキーを広げるべく努力してまいります。


ショートカービングの登場から約2年、今年はソルトレイク冬季オリンピックもあり、スキー各社はまた新たなアイデアが盛り込まれたモデルを投入してくるでしょう。
すでにオタク度の高いショップでは02−03モデルが一部展示されていると聞きます。


しかしながら、この業界を取り巻く状況は依然厳しく、I○Iの経営が変わったとか(表向きは全くわからないようになっていますが)、M財閥系スポーツはスキー関係から全面撤退し昔分家として独立したR側に吸収されてしまうなどと言われています。
スキー場も積雪は豊富にあるものの、雪の量に比例してお客が入っているわけでもない状況であると聞いています。さらにいくつかのスキー場が経営破綻するといった話も各地で出ています。


とはいえ、スキーこそは老若男女楽しむ事ができ、奥義を追求すればどこまでも奥が深い、まさに冬季のスポーツの王者なのです。
最近はパラリンピックの映像がメディアに取り上げられる事が多くなり、ハンディキャップを持った人達がスキーに接する場面をこの私も見る機会が多くなりました。
さらに言えばスキーが盛り上がれば経済波及効果も大きく、不況の影響が深刻な地方経済に多大なプラスになり、世の中を明るくする原動力になり得ると考えます。
今年も皆様が心の底からスキーを楽しめる1年である事を祈っています。

今回はスラロームのスキー板選びの難しさについて考えてみたいと思います。
大回転と比較しても回転競技は練習量、経験量で技術に差が出てくるものだと思います。
スラロームを始めたばかりの人と、ある程度習熟した人とでは選ぶべき最善のスキーは異なってくるのではないでしょうか。


かつては回転弧が小さいのだからスラロームにはリーゼンよりきついサイドカーブのスキーが使われていたように記憶しています。
さらに、ターンのテンポが速いために、たわんだ後の戻りの速い板が使われていたはずです。
しかし、可倒式ポールが使われ始め、逆手の技術が出現すると状況が変わってきます。
よりポールの間際までまっすぐ突っ込み、すばやく方向付けを行い、強く踏みこんで板を大きくたわませて出来たカーブで回っていくのです。
その結果スラロームの板がリーゼンの板よりサイドカーブが緩くなってしまうという逆転現象が起こりました。
習熟したスキーヤーはそのようなサイドカーブの緩い板で良かったかもしれません。
自分でスキーのトップを方向付けしていこうとすれば、サイドカーブが緩くトップ幅の狭いプロフィールの方が都合が良いと考えられていましたのです。
今思えば、この時代のスキーヤーはスラロームに対してどのような板を選べば良いか混乱があったように思います。
まだスラロームに不慣れでポジションが定まらないうちに、自分からの方向付けを要求されるサイドカーブの緩いスキーを使って無用な苦労をしていた人が相当数いたようです。
私の全くの私見ですが、この時期スラロームを始めたスキーヤーに対しては短めのリーゼン用の板が適していたように思います。
事実、私も一時期そのようなスキーを使った時期がありました。


そしてショートカービング登場と共にサイズも劇的に短くなりました。現在はかつてないほどスラロームを始める人にとって入りやすくなっています。
ややもすると、「短いことは良いことだ」という風潮になりがちですが単純に短ければそれでよいのでしょうか?
昨今のワールドカップシーンを見ても170cmは長いくらいで160cmが普通、155cmくらいの長さを使用する選手も珍しくないと聞きます。
我々もそんな短い板を使えば即、上手く滑ることができるのでしょうか?
いいえ一概にそうとは言えないでしょう。短かすぎると今度は前後のバランスを取る事が困難になってきます。
かえって高度なバランス保持の技術が必要になってくるのです。
今シーズンのW.CUP.でもバランスを取りきれず転倒するという場面が多く見られました。
どうやら、160cmを切るととたんにバランスが難しくなっているように思います。


恐らく、来期は各社150cm台の小回り用スキーを打ち出してくる事でしょうが、
皆様はご自身の技術をしっかりとらえて、適切なモデルを選びましょう。


補足:今回述べているのは男性を想定しています。女性の場合は男性より5〜10cm短いサイズを選択すれば良いでしょう。

スキーコンプの2月号を読んでいたところ、プロレーサーダイナマイト原田氏のコラムに大変興味深い内容が載っていました。
子供にはポール以外にもいろいろな状況での滑走を経験させるべきだというのです。
そりゃそうだわな…と思いつつも、冷静になって考えてみるといまどきのスキー場はピステンがきっちり整地してしまっていろいろな状況などそうは存在しないのです。


いや、こぶ斜面なら「モーグルバーン」がある。凹凸のある斜面だったらフリーライドパークなんて今ではどこのスキー場にもある。
そんな主張もあるでしょう。しかし、それらは作られたものなのです。


私が小学生だった70年代、スキー場にピステンは現在ほど存在していませんでした。
ピステンで整地してあるほうが珍しかったくらいです。
そういう状況では同じ斜面でも気象状況や季節によって自然に異なる斜面状況が出現し、それに適した滑り方が要求されたものです。
「今日はパウダー」、「今日はアイスバーン」、「今日はザラメのこぶ斜面」といった具合です。
同じ斜面で雪質が大きく変わるという状況は実は多様な雪質の変化への対応力を養うのに最適なのです。
さらにそれは天候の変化によってどのように雪質が変化するかを肌で感じ取るよい機会なのです。


さて、これは子供たちだけの問題ではありません。
80年代の好景気以降にスキーを始めた大人達にとっても大きな問題なのです。
整地では上手く滑ることが出来るのに、不整地(コブ、深雪など)に入ると「これが同―人物なのか?」と目を疑いたくなるような場面に出くわすことがあります。
整地に強いカービングスキーの普及も原因ではありますが、これは最近のスキー場が、きれいな整地か、わざと残された極端なコブ斜面等の不整地に二極分化してしまっていることも大きく影響しています。
「ちょっとした不整地」がスキー場からなくなってしまった為、不整地での滑りを練習しようとすると、いきなり難易度の高い斜面から始めることになってしまうのです。


このようにゲレンデ整備のし過ぎはスキーヤーから多様なシチュエーションを奪っているのですが、最近の厳しい経済状況を反映して整備を控えるスキー場もあると聞きます。
案外昔のような状況が期せずして再現されているのかもしれません。

先日初級者指導のイロハを教わり、また実際に指導する機会がありました。
私自身に関して言えば気がつけば冬の遊びとしてスキーを行っていた為、現在となっては初級者の気持ちはよく覚えていません。
今回指導させていただいた時、その初級時代の気持ちを意識させられたのでした。


単純に悪天候であれば、「先を見ましょう」と言われても見るに見られないこともあるのです。
スピードに対する感覚、慣れがなければ、前に出していた手も引けてポジションがどんどん遅れてしまいます。
一度説明された動きも、一発で完璧にできるようになるわけではありません。
何度も実際に滑ってみてイメージした動きと自分の実際の動きのギャップを埋めていかなければならないのです。
そのためには多くの時間滑る必要があるのですが、実際のスクールでは雪上講義に多くの時間が割かれている場合もあるようです。
あまりに講釈の多いスキースクールにはお金を払う必要はありません。
そういうところは「スキーができるようになること」を目的としていません。
「スキーを教えること」(教えて儲けること)を目的としています。


スキー板と同様、スクールも真実のスクールを選びましょう。

ミナミスポーツが民事再生法による会社更生を東京地裁に申請しました。
事実上、倒産したことになります。
そごうのケース同様、当面通常営業を続け、いきなり店が無くなったりということは無いようです。
業界内では、「来るものが、とうとう来たか…」という反応が多いと聞きます。


ご存知のように現在大不況でありまして、一般にこのような場合は二極分化が進むといわれています。
いわゆる「勝ち組と負け組」、「貧富の差の拡大」、「安売り量販店と高級ブランド店」などです。
スキー業界においては「専門店と量販店」の二極分化が進んで、その結果どっちつかずの店が消えつつあります。
今スキーの専門店を名乗るならば、スキーオタクを驚かせるような専門性が必要です。カタログ外商品は当たり前、板やブーツなどのマテリアルに関しては職人がいなければなりません。
逆に量販店で行くならば、予算に全くゆとりの無いファミリースキーヤーが無理なく買える価格でなければ成り立ちません。
これは私の全くの私見ですが、ミナミという店は「格好の良いスポーツ」を「格好の良い店」で提供してきましたが、さすがに現在の流れからは大きく外れてしまったという印象をもっています。
意地の悪い言い方をすれば、「形から入るスキーヤー」を相手に発展してきたが、今となってはそんなスキーヤーは本当に少なくなってしまったということです。
今でももちろん「形から入るスキーヤー」は存在しますが、ミナミスポーツの店舗数よりはるかに少なくなっていたのです。


私自身は「形から入るスキーヤー」を否定するものではありません。
そういう人々が多数存在すれば、むしろ業界は潤う方向に向かいますしスキーも多様性を保っていけます。
恐れるべきは、世の中売りやすい物ばかりになってしまう事です。
すでにどこに行ってもサロモンだらけになっています。
これは危険な兆候だと思うのです。

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