2009年4月6日職場で開催の試乗会で色々試す
歴史的な不景気といわれる昨今だが、スキーヲタクの面々は今年もニューモデルのチェックに余念がない。
春のうららかな日差しの下で今時話題の09-10モデルスキーを試した。
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私の職場で某チェーン店系小売店の試乗会が開催された。
レーシングモデルなどは少ないものの、試乗バーンは左の画像のような専用バーンが硫安入りで確保されたり、ポールバーンあったりと、なかなかのものだといえる。
職権濫用といわれるかもしれないが、一日試乗してしまったのであった。
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ATOMIC D2 DEMO タイプーS
09−10シーズンモデルで最もセンセーショナルなのは当然A社のダブルデッキであろう。
今回の試乗もこの「D2」からいくのだ。
このデモ用モデルは、昨年発表されたバリオフレックス(=踏み込み量によってフレックス感が変わるタイプ)がベースになっているようだ。「タイプS 」とあるのはショートターンへの適性があるとのこと。
長さ:160cm サイドカーブ:11m
トップ:123mm、センター:67mm、テール105.5mm
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このモデルのコンセプトは、非常にソフトな下層(板本体)に剛性の高い上層を重ねて柔軟な「しなり」と「剛性感」を両立させようとする…というものだ。
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構造的には極めてソフトな板の上に、長いプレート部分が乗っかっている格好である。
「ソフト」とされる板本体は、確かにヘニョヘニョであった。
ザラメザクザクのコンディションではやわらかいトップ部分が雪面の凹凸を拾ってしまい、やや落ち着かない感じはした。
ショートターン向けということになってはいるが、スラローム的な反応は期待してはならない。
スタッフの方が言っていたが「中ターンが気持ちいいですよ」という言葉はナルホドという感じだった。
クルリクルリとサイドカーブなりに回していく乗り方を想定しているようだ。
恐らく整地バーンでややゆったり気味にショートターンをするのが、この板にあった滑り方ではなかろうか。
いまどきの技術戦ではそのような滑り方の方が点数が出るらしい。
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ATOMIC D2 RS SL
FIS規定に対応した回転競技対応モデルである。
長さも規定通り165cm。トップフィンもついた本気度満点の板である。
上記のDEMOタイプ−Sとは全く異なり、かなり全体に張りのある板である。
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見た目はダブルデッキだが、下層の板本体もかなりしっかりした作りだった。
普通にしなやかで安定感もあり、ゲートの中でも失敗が少なそうな乗り味であった。ややベッタリ感があり、どうも昨年試したSLスキーと特性がかなり似通っていたように思う。
わざわざダブルデッキ構造にしなくても…と思った次第。
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ATOMIC D2 RACE GS
D2シリーズの大回り系モデル。FIS規定に縛られない大回転競技対応モデルでもある。
長さ;179cm サイドカーブ18.4m
トップ:114mm、センター:70mm、テール99mm
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板本体はかなりヘニョヘニョだが、そんなにパタパタした感じはしない。
加重するとかなりしなりが出るが、「底」はあってぐっと戻ってくる。ただしそのペースはかなりゆっくりしたものだ。
大回り用に作ってあるので当然ですけどね。
挙動がゆったりしているので、ポールセットの中でも余裕がでる。ポジションの前後にも許容範囲がありポールに慣れていなくても破綻なく滑れてしまいそうだ。完走率は高くなりそうな気がする。
しばらく滑って気づいたのだが、かつてS社が作っていたパイロットシステム(ゴムパーツをはさんで返りを出したタイプ)と似ているかもしれない。
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ATOMIC D2 VARIO CUT
昨年から「なんじゃこりゃ?!」と思っていたのがコレ。
加重するとトップとテールが開いてサイドカーブのRが小さくなるようにできている。
競技モデルになったらサイドカーブ規定に合致するかどうか…など余計な心配をしたものだが、競技モデルにこの機構が採用される気配はない(笑)
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聞けば、メーカーはシニア向けにオススメとしているとのこと。
確かに乗ると穏やかさを強く感じる。
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トップ部分の表と裏。
先端が開くように割れ目がソール側にも入っている。
「先割れスキー」「蹄スキー」とでもいう感じだ。
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テール部分も開きが出るように割れ目がソール側に入っている。
これはこれでかなり精緻な構造である。
設定価格が高いのも理解できるような気がする。
買うとしたら…それにしても高いですが(笑)
加重していくと、「ムニュ〜」といった感覚で回っていく。
やはり整地でなめるように回る感覚を味わうのがこのスキーの楽しみ方だと思う。
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SALOMON EQUIPE2V RACEPowerLine
アメアスポーツのもと、アトミックと統合されてしまったサロモンの一般向け大回り、大回転(FISルール外)モデル。
長さ;178cm サイドカーブ19m
トップ:112mm、センター:67mm、テール94mm
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色がブラックになって、デザイン的には精悍さが増したといわれている(!?)
が、実際はどうなのか?
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乗ってみると、普通にしなやかさを感じる。
ザラメザクザクのコンディションでもそんなにパラパラした感じはしない。
やはりmade by A▽○M□Cということなのか。 スキーの中心軸線上に並ぶ小さな四角の部品とビスを見ると…
気がつきますでしょうか?
そうD2のジョイント部分とだぶってきませんか?
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テール側にもD2のジョイント部品のようなものが…。
これは「隠しダブルデッキ構造」なのではなかろうか。
「LAB」の文字があるが、当然選手用ではない。
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SALOMON Xwing TORNADE TI
会場となった我が職場ではセミファットのスキーが使いよいと思っていた。今回の試乗会でセミファットというとそんなに多くはなかったが、サロモンにはセミファットモデルがあった。
長さ:173cm サイドカーブ16.3m
トップ:120mm、センター:79mm、テール107mm
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もともと、サロモンというメーカーはイージーに滑る板を作ることにかけては優れていたと思う。
変に高性能な感じでプロモーションするのが鼻についたが、正直にイージーなものだといえばまだ許せたものを(笑)
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デザイン上は、コアの木目がトランスペアレンシーで見えたりして面白い。
最近ではスノーボードやファットスキーで使われている手法である。
実際乗ってみると、ザラメザクザクなコンディションでは非常にコントローラブルでイイ感じであった。
縁が薄い板だが、ちょうど良い「逃げ」がでる感じだ。
楽に様々な場所、コンディションを楽しみたい方には好適であろう。
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ELAN SPEEDWAVE 14FUSION
エランの「波板」。
オールラウンドモデルの最上級機種になるのかな?
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全体に白っぽいので、最上級機種とは思わなかったが、最近はこうしたカラーリングも狙ってやるらしい。
トップがなぜか非常にスクエアな形状をしている。
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大変軽い印象のスキーだが、滑りだすと安定感は高い。
一種独特なフィーリングだ。
昨年、試乗した波板はかなり「箱的」な印象だったが、こいつはかなり「板的」な印象だ。
我らがブリのようにサイドウオールを取り入れたことでしなやかさが出ているのではないだろうか。
波部分もそんなに深くなく、むしろ縁の補強部分の方が強く作用しているように見える。
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FISCHER RC4 GS(選手用)
昨シーズン、SL用スキーのトップに穴をあけて話題になった。今度はGSスキーにも穴をあけた。
R27規定に合致している「選手用」である。
試乗したのは長さ:188cm
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レーサーの間では定評のあるF社である。
前年から基本的には大きく変わっていないと思われる。
比較的乗りやすく、しっかりした乗り味であった。
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ただし、トップの穴はザラメコンディションでは大量の雪を噴き上げてしまう。
画像はカメラがとらえた「雪が吹き上がる瞬間」である(クリックで大きな画像表示!笑)
固められたレーシングバーンでの使用が前提のため、春のザクザク雪で乗るものではないのだが、初めてはいてみて驚いた。
ただ、まっすぐ滑っているだけでも雪がザブザブ吹き上がり、ひざ下が雪まみれビショビショになってしまう。
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選手用の穴あきスキーは一度普通の形状で完成させて、あとから穴を削る。
断面構造が見えるのがその証拠。
一般向けのモデルはトップから雪が吹き上がらないようシート状の材質で穴がふさがれているので心配ない。
GSのスキーの方がSLよりも穴の位置が中心からの距離が遠いため、SLよりも先端の重量軽減効果ははっきりしているように思った。
とにかく軽く方向付けができる感じだ。
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FISCHER RC4 SL(選手用)
元祖穴あきスキー。
昨シーズン、スイングウエイトの軽減を狙ってトップとテールを削って穴をあけたスキーを出した。
選手用なので長さは165cm。
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昨年は、「穴あきでない」モデルを試乗したが、今度は「穴あき」。
正直、同じコンディションで穴の有無を比べたわけではないので断言は難しいが、穴はあってもなくてもF社のSLの良さはあまり変わらないように思った。やはりA社のSLよりも多少クイックな反応を持っていると感じた。
ただ、トップから雪が吹き上がるのは共通だ。ひざ下がビショビショになる(笑)
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K2 EXTREME
今回、K2に関しては平板を選んで試した。
こいつは一見非常にシンプルなスキーである。形状こそツインチップだが、全体の作りは当たり前のサンドイッチの平板。
表面にわずかにレリーフのような凹凸はあるが、それでも基本は貼り合わせで作られたスキーだ。
板に貼られた説明書きにはパーク上級者向けとあった。パーク用のスキーもレベル別に細分化が始まっているということだ。
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グリーンは流行色なのであろう。
この板も黒っぽいベースの中に黄緑系のロゴが浮き出して見えるカラーリングである。
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組み合わされているビンディングはM社のジョーカーというタイプ。
最近、M社のビンディングは軽量化にご執心であるように思う。
トウピースは必要最小限の前後長しかない。
ヒールピースもちょっとLック的な見え方の形状で軽量さを追求しているように見える。
結局、ザラメザクザクの状況で試さざるを得なかったのだが、そんな状況下で極めて良いフィーリングが得られたのだ。
結構とばしても安定感は高かった。普通にオールラウンド的な用途にも「使えそう」である。
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K2 SPITFIRE S
K2の次なる平板はコイツである。
レーシング的なキャラクターを持ったSL(的)モデルである
実は以前在籍していた会社での先輩(スキーのオタキング氏)が今年はこのメーカーを使用すると言っていた。
すぐれた技術性を保持していながら、多くのスキーヤーが入手しないだろうという基準で選んだらしい。
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見るとまったくの平板である。
まっ平らな板の上に、マーカーのピストンコントロールプレートが載っていた。
試乗してみて、素直に関心した。
非常に素直でコントラーブル、そこそこ走りもある。正直、かなり「好きな」タイプのスキーである。
この上位機種があるようだが、これでも十分戦闘力はあるような気がした。
「K2の神髄はサンドイッチでわかる」といっても過言ではない。
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ReIsm ST−A
実は映画「銀色のシーズン」にフィーチャーされていたブランドであった。
ブランド名から解析が必要だが、つまり「イズム」(=主義、カービングだのコブだの滑りのスタイル?)を考え直そう(Re=再び)ということのようだ。
滑りの細かい主義主張を再考したら…というわけだ。
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非常にシンプルなコスメデザインである。
N社が展開初年度にあえて取った戦略に近いのか?
このモデルはオレンジだが、他のモデルも明るくポップなカラーリングが多い。
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試乗板のトップ付近にキャッチフレーズが貼ってあった。
曰く「朝イチのフリーは好きですか?」
乗ってみると、キャッチフレーズをつけた気持は分かった。
この板はパウダーでも整地でもそこそこイケる設定で作られている。
全体に「薄い」感じだが、意外にトーションが負けていない。
どこでどうやっているのか表からは分からないが、そんな感覚だ。
非常に楽に取りまわすことができるスキーである。
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今回の試乗会でのアピアランスからすれば、どうしてもA社のD2が話題性でひとつもふたつも抜きんでていた。
「新しいもの」という意味では文句ない内容であるが、どういった状況で効果が発揮できるのかという情報も必要ではないのかな?
D2は限られた状況下での試験であったが、基本的には整地滑走向けの構造であるように思った。
ザラメで凹凸の激しい面ではトップの柔らかさが災いしてぱらつくように思えた。
対して単純なサンドイッチ構造でできた平板の方が多様な状況に対応できてるような気がしたのだがいかがであろうか。
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