2010年3月某日 K2のPontoon(ポンツーン)を試す

かつて「スキーNOW」というTV番組があった。
その中で、有名スキーヤーが海外の雄大な山をダイナミックに滑り降りてくる映像がよく流れていた。
今思い返してみれば、ほとんど「バックカントリー」「パウダーラン」というシチュエーションを2m以上のレーシングスキーで滑走していたわけで、その技術の高さに改めて感心する。
その昔は、スキーの形状というのはほとんど一定であって、状況が変われば滑り手がその状況に合わせた滑り方をすればよいというのが当たり前の考え方であった。

時代は流れて21世紀の現代、スノーボードの登場を横目に見ながら、カービングスキーという発想の転換を経て、次第にシチュエーション別の専用スキーに分化してきている。
そして、素人滑走者でも苦労せずにパウダー滑走できるよう幅の広い「ファットスキー」が登場し、注目を集めているのだ。
こうした新しい動向に対して最もラジカルな製品を開発しているのがK2であろう。
今回、その中でも「もっとも常軌を逸した」と評されるPontoon(ポンツーン)を試してみた。

pontoon全体
全体像。
ビンディングがやけに小さく見える。それだけ板の幅が異常に大きいのである。
数値スペックは…
長さ:189cm
トップ:160mm・センター:130mm・テール;120mm
サイドカーブ:データなし(通常のスキーみたいなカーブはあるのか?)

一見してわかるのは、通常のスキーとは全く逆のベンド形状になっている。画像のように普通に地面に置くとトップとテールが浮いた状態になる。非常に違和感を感じる光景である。


「Pontoon」というのは、浮力を得るための部品というような意味があり、水上に着水する航空機のフロート(浮き)の部分を指すこともある。
スキー表面に描かれた飛行機も足元はポンツーンになっている。
ネーミングからすると浮力を得るためのスキー板ということになる。そしてこいつは浮力を第一に考え、そのほかのことは頭から追い出してデザインされているのだ。


普通はセンターが一番狭いものだが、こいつは全体に後ろに行くほど幅が狭くなっている。
特にテール部が急に細くなっていて、これはパウダーでの板の「抜け」を良くする効果があるとのこと。

カタログ上の説明では、雪質への適性が、ソフトスノー:95%、ハードスノー:5%とあったが、正確にはソフトスノー:99.5%、ハードスノー:0.5%というべきではないだろうか(笑)
圧雪バーンではほとんどスキーにならない!
しかも板全体がヘロヘロしているゾ!
ところが圧雪のかかっていない個所を選んでいくとまるで別の生き物のようにするすると進んでいく。
とにかく浮力が大きいので、ただ乗っかっていれば進んでくれる。あとは行きたい方向に向けばそっちに行く、といった具合だ。
もちろん一番気分が良いのは軽いパウダーの中だが、湿った重くなりかけた雪でも踏んずければスルリとターンでき結構いける。

ここまで特化したスキーになると、シーズン中気持ちよく使えるのは何日あるのだろうか?などと思う。
もちろんK2というメーカーもここまで極端なものばかりでなく、もっとオールラウンド性のあるモデルもたくさん用意しているのでご安心を。
まあ、たまにこうしたスキーに乗るのも面白いと思った。


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