2008年8月18・19日
白馬岳を登る(大雨の中を速攻下山、直後土砂崩落発生)
後編:山頂アタック〜下山

登りはなかなか順調であった。
事前の想定より一時間近く早くテン場に着いたので、当然山頂を目指すことにしたのであった。

山頂に向かう

テン場から尾根の縦走路に出ると山頂方面が見渡せた。

テン場のある村営宿舎(1000人収容)の上には日本最大の規模といわれる(web:1200人収容)白馬山荘。
さすがにでかいです。
2830mにある施設とはとても思えないような威容を誇っている。
この山頂エリアは最大で2000人以上宿泊できるというわけだ。

画像に映っている人物は知らないおにーさん。

小屋の先でガスのかかったピークが白馬岳山頂。
ガスのかかり方がイヤ〜な雰囲気。

白馬岳山頂標識

超巨大山小屋である白馬山荘を過ぎると山頂アタックのルートである。
が、そこからガスが濃くなり視界はほとんどなくなってしまった。

途中、白馬岳の開発に貢献した松沢貞逸の石碑を見たりしながら、山頂を目指した。

テン場から約40分で山頂に到達!

山頂方位盤

やっとこ山頂についたものの、濃いガスで視界はほとんどなし。
ガイドブックにある360度の眺望???
「なにそれ?」ってな感じ。
15分くらい粘ってみましたが、鉢ヶ岳方面が一瞬見えただけであとは真白。

画像は山頂標識のわきにある立派な方位盤。

仕方がないので、さっさとテン場まで戻って、早めに夕食を食べた。
今回は自分で食糧を担ぎあげたが、お金があれば山小屋で食事を頼むこともできるとのこと。

とりあえず、7時ころにはやることもなくなったので、AMラジオ聞きながらモルトウイスキーをチビチビやって、8時ころには一度、寝に入った。

19日朝のテン場

しかし、夜中になってどんどん風が強くなってきた。
AM1時頃から何度も突風で目が覚めた。

あまりに強い風のために、テント全体が押されてしまうのである。
それも中で寝ている私の身体も動いてしまうような強さである。
テントのポールがきしむとさすがに心配になって内側から必死になって支える場面がでてきた。

3時過ぎからはひっきりなしに襲ってくる突風に耐えるためあまり眠ることができなかった。

隣に張っていたテントは未明に崩壊したようである。
明るくなって外を見るとペシャンコになって石が置かれていた。

画像は夜が明けた時点での私のテント。
時たま小雨が降っていて周囲は濡れている。
気がつくと、私以外のテントは早々に撤収してしまい、テン場には私しかいなかった。

当初は暖かい朝飯を準備しようと思っていたが、暴風吹き荒れる状況ではとても火を使う気にはならなかった。
テントの中で、残ったピーナッツパンを全部食べ、チーズやキットカットなどカロリーの高そうなものを食えるだけ食べた。
そして暴風の中、難渋しながらテントをたたんでザックに文字通り押し込めた。
これだけ風が吹いていると稜線歩きには危険性が出てくると思い、登ってきた大雪渓ルートで速攻下山することにした。
今日はどこを通ってもまず視界は開けないと判断したのであった。

下山開始

下山を始めた途端、激しい雨となった。

ドサー!ザー!という感じの激しい雨である。
大粒でバケツをひっくり返したような豪雨だ。
「熱帯雨林」なんて言葉を連想するほどだった。

フラッシュを焚いた画像には巨大な雨粒が映っている。
もはやお花畑を見ている余裕も全くない。
早く下ろうとなると、スキーヤーの本性が頭をもたげてくる。
道場Kの親分の言葉を思い出す。
「すぐに次に足を置く場所を決める」
「右足が着く前に左を出す」
前者はわかるけど、後者は物理的に無理があると思いますが・・・
まあ、そんな気合いで進めという解釈でバンバン下った。

大雨で増水してきた沢

大雪渓上にある途中の沢もだいぶ増水していたようだ。

この周辺は細かい石がゆるい感じがしていた。
土砂崩落の現場付近ではないだろうか。
webの情報ではAM11:00頃に崩落が起こったようだが、自分が通過したのがAM8:00前後。
3時間ほどの時間差しかなかったと思われる。
つくづく朝一に全速力下山を決意したことが危険から逃れられた要因だったと思う。

大雪渓上部に到着

8時頃に大雪渓上端に到達。

登山靴のソールでズリズリ滑らせながら下ると早いかと思ったが、実際雪渓に立ってみると思いのほか凹凸が大きく滑らせづらいことがわかった。
結局、下りもアイゼン装着で行くことにした。
階段を降りるようなイメージでリズミカルに下るとかなり効率よく進めた。

雨があまりに激しく降るので、落石など襲ってくるのではないかとビクビクしながら必死で降りた。
視界はほとんどないに等しかったが、最後は大体一つのポイントにつくだろうと思い、かまわず下に向かったのだ。

大雪渓終わりが見えた

大雪渓を下り始めて、約40分。

ガスの中から親子連れの登山者が視界に入った。
せっかくなのでちょっと話す。
「雪渓の終わりはもっと下でしょうか?」
「もっと下じゃないですか」
ガスが濃く自分たちがどの位置にいるのか正確に把握できないのだ。
腕時計の高度計もあるが、これとて気圧変化で数十メートルの誤差が出るので、どうも信用しきれない。

と、だしぬけに視界が開けると大雪渓のエンドが見えた!
下山していた数名の表情が変わったように見えた。
やはり目的地が見えるというのは精神的に楽に感じるものなのだ。

アイゼンを外してさらに下って行った。
次のは白馬尻小屋を目指すのだ。

土砂降りの白馬尻小屋

アイゼンを外して10分ほど下ると白馬尻小屋に出た。

登山者は皆、軒先で雨宿りしていた。
土砂崩落に巻き込まれた人たちはこの小屋に宿泊していたというが、まさかこの画像に映っていたりしないだろうか?
(私の記憶では、被害者と同じ年格好の方はいなかったように思う)

この時点で私はレインウエアも関係なくなるほど雨に打たれてビショビショになっていた。
一度水に飛び込んで上がってきたような濡れ方と言える。
防水のはずの登山靴の中まで水がバシバシ入ってきてどうしようもない。
この不快感から逃れたい一心で半分走るように下った。

やっと駐車場に到着

意外に長く感じる林道を抜けて、猿倉に到達したのが9:40頃。

大雨の中、早く下りたい一心で3時間を切るペースで下山した。
理由はともあれ、モチベーションが高ければこのように速いペースで下れるということなのだ。

全身雨でびしょ濡れだったので、車に乗っても何時間も乾かなかった。
そのため家に帰り着くまで、車から降りて出歩くことができなかった。
下半身もビショビショでそのままどこかの店に入りでもしたら、不審者として警察呼ばれたかもしれない。

それにしても土砂崩落に巻き込まれた方々はお気の毒である。ご冥福をお祈りします。
同じ山に行っていながら、数時間差で私は難を逃れた。
何が運命を分けるのかは私にはわからないが、状況の悪いときは無理せず、すぐ引き返すことも重要なのではないだろうか。

トリカブト

以下、高山植物の写真を何点か掲載する。

●トリカブト

有名な毒のある植物だが、紫がかった青の花がきれいだ。
結構いろいろな山で見られる。

高山植物花2

●ミヤマアオダキ

下を向いた花で青いのかと思ったら、中心は白くなっている。

2600m付近のお花畑に群生していた。

高山植物の花3

●ハクサンフウロ

うす紫色で花びら5枚の花。
花びらがほんとに薄くて風が吹いたら破れてしまいそう。

テント場付近で見かけた。

高山植物の花4

●ミヤマキンポウゲ(?)

黄色い花も何種類か見かけたが、葉っぱがギザギザ細いのが特徴。

テント場の周辺に群生していた。

高山植物ハクサンイチゲか?

●ハクサンイチゲ(?)

可憐な白い花。

テント場の周辺に群生していた。

山岳の荒行はまだ続く(?)

BACK | INDEXに戻る | NEXT


■本ページはスタイルシートでレイアウトしています。非対応ブラウザは画面配置が崩れることがあります。
スパム対策のためメールアドレスは画像のアドレスを手入力してください。スパム対策のため、メールは左記アドレスを手入力願います。

教会各部屋のご案内 神を見るための板たち 布教活動 LEGEND名手達の伝説 WEB上の巡礼 栄光のテクノロジー 特別企画 無雪期山岳修行 教義 究極の板と至高の板 ブリザードという名のモノ 異端審問所 よくある質問 業界の実際 アミノバイタル教 加圧トレーニング教 信者の広場(BBS) 信者の広場過去ログ 旧BBS過去ログ

黒犬靴(ドーベルマン)教 黒犬靴160の全貌 2011年黒犬情報